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本好きの下剋上 第三部_領主の養女 香月 美夜/椎名 優/波野 涼(オリジナル資料あり)

この記事では、本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~の第三部について、巻ごとに紹介しています。

また、口絵を利用した登場人物紹介、ユレーヴェの素材採集地図、神殿行事の時系列を作りましたので、そちらも参考にしながら読んでくださいね。

※2024/1/28の朗読会(URLはこちら)の内容は、この第三部の2巻目にあります。

※朗読会の内容をコミカライズ版で読みたい方は、まだ発売されていない8巻になるので、配信サイト「コロナEX」でどうぞ。


本好きの下剋上」は、巨大創作サイト「小説家になろう」で連載、完結済の作品です(リンククリックでWeb版のページへ)。

第三部は全5巻。だいたい第173話~277話にあたります。

本作品の概要については別記事で紹介しています。まず全体を把握されたいかたは、先にそちらをお読みください。

castleslove.hatenablog.com

第一部・第二部・第四部・第五部1~6の紹介はこちら(コミカライズ版含む) ↓


第一部

第一部各巻のあらすじと感想

第二部

第二部各巻のあらすじと感想

第四部

第四部1~5巻のあらすじと感想

第四部6~9巻のあらすじと感想

第五部

第五部1~3巻のあらすじと感想

第五部4~6巻のあらすじと感想


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  • 一部ネタバレあり。
  • あらすじは筆者が作成したものです。
  • 感想はあくまで筆者の個人的な印象に基づいています。
  • 資料は筆者が作成したものです。



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第三部のあらすじ 貴族編 上級貴族の娘→領主の養女


第二部は、主人公マインが大切な人たちを守るために、元々同意していた10歳ではなくすぐに貴族になることを決心したところで終わりました。

第三部は貴族の実父となるカルステッド視点のプロローグから始まります。

領主ジルヴェスターが作ったあまりにも大雑把な設定を、もう少し本物らしくするための相談、妻エルヴィーラを味方にするための根回し。

そして幼女の恥じらいに無頓着な神官長フェルディナンドによる強引な健康診断(ここでお風呂のことを自分で持ち出しておいて慌てる神官長がちょっとかわいい)。

あ、でも幼女趣味的場面は一切ありません。ご安心ください。「本好き」はそんなストーリーではありません。

さて、どうやらマイン改めローゼマインの身体は、普通の魔力持ちとは異なる様子。

身体の中のあちこちで魔力が固まっているため、それを溶かす必要があるとのこと。

というわけで、第三部で彼女には、貴族、しかも領地最上位である領主の養女としての生活に慣れること、神殿長としての役目を果たすことだけでなく、「ユレーヴェ」と呼ばれる薬を作るための素材を集めるというミッションまで課されるようです。

なんだか、悪役令嬢とか聖女ものとかを読んできた人間には、どんな話になるのか全く想像できない…



第三部 領主の養女Ⅰ(1)(通算第8巻)



表紙・挿絵・口絵は椎名 優さん。フェシュピールを弾くフェルディナンドと、神殿長服のローゼマイン。

穏やかな表情がかわいいけれど、机の下に伸びている(突っ張っている)足がめちゃくちゃ愛らしいと思いませんか?


オーディオブックもあります。Audibleの会員登録 をすれば聴き放題!


本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女1」 香月 美夜 (著), 井口 裕香 (ナレーション), Audible Studios (出版社)


※Audibleについてはこちらで紹介しています。

castleslove.hatenablog.com



この巻から登場人物が一気に増えます。

どんどん増えていくので、冒頭の「登場人物」ページに何か挟んでおいたほうがいいかもしれませんね。

一応、口絵に登場人物の解説をつけてみました。

この巻では、マインがまず上級貴族の、そして領主の養女となって、立ち居振舞いだけでなく貴族の「あたりまえ」を徐々に知識として身につけていく様子を描きます。



あらすじ


カルステッドの家で彼の第一夫人エルヴィーラに会うローゼマイン。

彼女はローゼマインの生母に設定されている第三夫人をいじめていた(カルステッドによる一方的な情報)というので心配したが、公平な女性だったので安心する。

エルヴィーラはフェルディナンドのファンらしいし、流行を作ることに熱心であるため、いろいろと情報を流して親しくなっていく。

上級貴族としての行儀作法や神殿長としての知識を身につけることは非常に大変だが、家族を守るため!

それに神官長がごほうびをくれるって言ってくれたし、私は大丈夫。

人生2回目の洗礼式は、保護者達の思惑で聖女パフォーマンスをさせられたうえ「血まみれ事件」があったが、なんとか乗り切った。

神殿長の就任式を行い、城との行き来が始まる。

ジルヴェスターの無茶振りによってイタリアンレストランに招待させられたり、

いきなり小神殿が建ったり、

寄付金を集めるための手段を学んだり、

騎獣を作ったり。

久し振りに下町のみんなに会うことができたのが唯一の息抜きだった。

でも、もう家族として会うことはできないんだよね…



書き下ろしSSなど


()内は大まかな内容。

特典SSとは、TOブックスオンラインストアや本好き応援書店で紙書籍を購入すると付いてくる書き下ろし短編です。

「Web版」と書かれていないものは書籍化にあたっての書き下ろしです。

  • プロローグ:カルステッド視点
    (フェルディナンドは女性の扱いが雑すぎる)Web版第173話を三人称で改稿
  • エピローグ:ルッツ視点
    (マインはどれだけ努力したんだ)Web版第196話前半を視点変更で改稿
  • 短編1:「妹の護衛騎士」
    コルネリウス視点(ローゼマインを守らなくては!)
  • 短編2:「腹の痛い料理人」
    フーゴ視点(恋人がいるって幸せだな)Web版第187話を改稿
  • 特典SS:「お姉様とのお茶会」
    クリステル視点(フェシュピール演奏会の思い出)(短編集Ⅰ収録)

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感想(ネタバレあり)


この巻はちょっとだけ貴族社会の知識を得る内容になっています。

ちょっとだけです。ローゼマインにも読者にとっても新情報だらけで、慣れるのが大変ですから。

最初からいきなり「魔力が固まっている。君は一度死んだことがあるな」ですよ。

どういうこと? 心臓があるんじゃないの? 動脈硬化のようなものなの?

と異世界人の不思議を突き付けられます。

ライトノベルって異世界設定が多いけど、身体の造りが違うのってあまり出てこないと思うんですよね。

魔力がある、というのはよくあるんですけど、魔力が身体のどこで作られているのかという解説ってあまり読んだことがない。


そして、少しずつ見えてくるのが、貴族社会について。

貴族の中にも厳しい階級差があることがわかる。

領主一族にしかできない魔術があるとか、

作法だって中級貴族と上級貴族では違うとか、

家具も階級によって違うとか。

光るタクトはシュタープといって、貴族院へ行かないともらえないとか。

ここまで細かい設定があるラノベはなかなかないでしょう。


その他もろもろ、新情報がどんどん出てきますが、まだまだ序の口。

フェシュピール演奏会なども、裏読みしなくてもなんとかなるレベルで、読者は笑ってついて行けますね。

この巻のマインは、ごほうびがあるので勉強は頑張りますが、貴族のしがらみや慣習について深く考えることができず「めんどくさい」と放り出したがるのが常ですね。

必要だとわかれば頑張ると思うのですが。そうなるまでには色々経験を積む必要がありそうです。

あ、お気楽ジルヴェスターが見られるのはこの巻までかも。



第三部Ⅰの超簡単な時系列


エーレンフェストの行事・儀式を中心にした時系列です。

第三部Ⅰ時系列
第三部Ⅰはほぼ夏ですね



資料 口絵より登場人物紹介


夫が挿絵や口絵を見ても誰が誰だかわからないと言っていたので作ってみました。

書籍第三部Ⅰの口絵、誰が誰なのかわかりますか? わからない人向け


書籍第三部Ⅰの口絵に出てくる人たち
口絵に出てくる人たち(ローゼマインとの設定上の関係を含む)



コミカライズ版


コミカライズは第三部1から、4の最初のエピソードまでがこの巻に当たります。作画は波野 涼先生。

第三部1巻
貴族街への移動~星結びの儀式下町編まで。健康診断の部分はほぼカット。
・「妹の護衛騎士」を基にした波野先生の描き下ろし番外編「騎士団長の末子」が楽しい。
・香月先生の書き下ろし短編はトゥーリ視点「初めての手紙」。みんなでお手紙を書こう! 

第三部2巻
城への移動~ロウ原紙作成へ向けてまで。
・波野先生の描き下ろし番外編は「ベンノとグスタフの憂鬱」。
・香月先生の書き下ろし短編はカルステッド視点「家庭内の変化」。エルヴィーラの様子がおかしいと聞かされて…?

第三部3巻
秘密のお手紙発見~ロウ引き機械の完成まで。
・波野先生の描き下ろし番外編は「レッサーくんとわたし①②」「レッサーくんと神官長」。波野先生のレッサーくん好きだなあ。笑えます。
・香月先生の書き下ろし短編はトゥーリ視点「マインと会うために」。行儀作法って大変!

第三部4巻
フェシュピール演奏会~ハッセの孤児たちまで。最初の第20話までが第三部Ⅰ。
・波野先生の描き下ろし番外編は「崩せない気持ち」。ギュンターw 
・香月先生の書き下ろし短編はランプレヒト視点「おいしい料理と面倒事」。食べ物に釣られるから…


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第三部 領主の養女Ⅱ(2)(通算第9巻)



ローゼマインの貴族服可愛いですね~

ヴィルフリートも生意気なお坊ちゃまという感じ。

ジルヴェスターもこの巻の最初の方はまだやんちゃな雰囲気です。


オーディオブックもあります。Audibleでどうぞ。


本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女2」 香月 美夜 (著), 井口 裕香 (ナレーション), Audible Studios (出版社)


この巻では登場人物はあまり増えませんが、収穫祭とリュエルの実の採集で領地の地理が出てきます。

冒頭の地図を見ながら読むと、直轄地とギーベの土地の関係がわかりやすいと思いますよ。

次巻からは採集地図もつきます。お楽しみに。



あらすじ


季節は秋になった。神殿では収穫祭という重要な行事がある。

徴税官を伴って領地を巡り、徴税官は徴税を、神官達は春に祈念式で配った小聖杯を回収したり神事を行ったりして、平民からお布施として収穫物をもらうのだという。

ローゼマインは行った先でユレーヴェの素材となるリュエルの実の採集を行うらしい。

まずはハッセで孤児を救い工房を作ろうと気負うローゼマイン。

貴族に平気で嘘をつく浅ましい町長から救いだし、同時に町の負担を軽くするつもりで4人の孤児を引き取る。

しかし、それがトラブルの始まりだった。

貴族の恐ろしさを知らないハッセの町民は、後ろ盾があると思い込んでいる町長の口車に乗って、小神殿を攻撃してきたのだ。

ローゼマインは、ハッセへの対応でフェルディナンドから課題を課される。

人命を伴う課題の重さに悩む彼女に、さらに領主の息子ヴィルフリートが勘違いも甚だしい理由で絡んでくる。

二つの大きな問題にどう立ち向かうのか? リュエルの採集はできるのだろうか。

彼女を救ってくれたのは、やはりルッツだった。



書き下ろしSSなど


()内は大まかな内容。

特典SSとは、TOブックスオンラインストアや本好き応援書店で紙書籍を購入すると付いてくる書き下ろし短編です。

「Web版」と書かれていないものは書籍化にあたっての書き下ろしです。

  • プロローグ:エーファ視点
    (マインは大丈夫かしら。会いたいわ)Web版第196話後半の加筆・視点変更
  • エピローグ:ブリギッテ視点
    (イルクナーの役に立ちたい)
  • 短編1:「ヴィルフリートの一日神殿長」
    ヴィルフリート視点(私は甘えているのか?)Web版第205話・206話
  • 短編2:「ハッセの孤児」
    トール視点(やっぱりハッセがいいな)
  • 短編3:「ユストクスの下町潜入大作戦」
    ユストクス視点(マインとはいったいどんな人物なのだ)
  • 特典SS: なし


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感想(ネタバレあり)


何度読んでも面白い巻です。と同時に、まだまだ平民感覚で読めるわかりやすい巻でもあります。

ハッセの罪に対する認識の違いに愕然とするフェルディナンドとローゼマイン。

「あれ?……では、町長のやらかした、悪いことは何ですか?」「貴族である私の命令に従わなかったことと、許しもなく立ち上がろうとして我々の決定に異議を唱えたことに決まっている」


買収や孤児への虐待が罪なのではない。

一番の罪は、貴族に逆らったこと。

貴族に歯向かえば当人だけではなく、連座で周囲も命を失うのは普通というのが貴族社会。

しかし前神殿長を貴族の代表のように見ていて、貴族は買収に簡単に応じるちょろいものだと思っているハッセの町長と取り巻き。

彼等は自分達の罪の重さに気付きません。

(ハッセの町長を叱りつけたダームエルかっこよかったケドね)

ローゼマインはフェルディナンドから町長を陥れるという課題を出され、眠れないくらい悩みます。

自分がなんとかしないと、ハッセの人々は全員命がなくなってしまう。

そんなところにまた絡んできた怠け者のお坊ちゃま、ヴィルフリート。

ついに堪忍袋の緒が切れるのか? それともローゼマインが倒れるのか?

と危惧しているとルッツが救ってくれました。さすがルッツ。ルッツしか勝たん。

さらに、ベンノとマルクは問題点を一つ一つ指摘してわかりやすく説明し、商人ならではの解決方法を提案してくれます。

少し回りくどい方法にはなりますが、ローゼマインには十分納得できるものでした。よかった。

復活したローゼマインは、次は鬱陶しいヴィルフリートをなんとかしようと、入れ替わり生活を提案します。


この巻では、これまで表面的にしか認識していなかった貴族社会の常識の重みを読者もともに知ることになります。

貴族に平民が逆らえば、連座で関係者全員が処刑されるのが当たり前。

平民のマインが上級貴族のビンデバルト伯爵を攻撃すれば、父親のギュンター、母親のエーファ、姉のトゥーリ、弟のカミルも消去されてしまうかもしれなかった。

黒いお守りで先に領主の養女の契約を成立させていたので、フェルディナンドは大義名分を得て彼等の命を救うことができました。

この連座制度、今後も出てきますので意識の片隅に入れておいてくださいね。


入れ替わり生活はわかりやすい「お仕置き」でしたね。

ヴェローニカという祖母に育てられたことがいかにヴィルフリートを毒していたのか、側近は何をしていたのか、ほんの一部ですが知ることができました。

ジルヴェスターの人柄、フェルディナンドの過去の一部、などなども垣間見れました。

フロレンツィア、大変だろうけど夫の再教育もお願いしますね!

ヴィルフリートは立ち直ってちゃんとお披露目ができるようになるのか? それは次巻。


そして、本当はただリュエルの実に魔力をこめて魔術具のナイフで切ってくるだけのはずだった素材採集が、巨大な魔獣との戦いに発展。

虚弱な幼女を容赦なく働かせるフェルディナンドですが、彼女にしか対抗できないから仕方がない。

トロンベ、ビンデバルト伯爵、ゴルツェ…

戦闘になっても腰を抜かしたりしないのは、麗乃のおかげじゃなくてギュンターの娘だからか。



第三部Ⅱの超簡単な時系列


エーレンフェストの行事・儀式を中心にした時系列です。

第三部2時系列
第三部Ⅱはほぼ秋ですね



資料 口絵より登場人物紹介


第三部Ⅰに続きこの巻も人物紹介を作ってみました。

ダームエルとブリギッテの区別が難しいのですが、髪と目の色で。


書籍第三部Ⅱの口絵の登場人物紹介
鎧兜だとわかりにくいなあ



コミカライズ版


コミカライズは第三部4の途中から、まだ発売されていませんが第三部8の途中までがこの巻に当たると思います。

第三部4巻
フェシュピール演奏会~ハッセの孤児たちまで。第21話からが第三部Ⅱ。
・波野先生の描き下ろし番外編は「崩せない気持ち」。ギュンターw 
・香月先生の書き下ろし短編はランプレヒト視点「おいしい料理と面倒事」。食べ物に釣られるから…

第三部5巻
ハッセの孤児たちと小神殿~ハッセ改革の話し合い前半まで。
・波野先生の描き下ろし番外編は「フーゴと料理人の道」。これ楽しい。フーゴには悪いけど。
・香月先生の書き下ろし短編はマルテ視点「小神殿の夜」。襲われた時マルテ達は…

第三部6巻
ハッセ改革の話し合い後半~入れ替わり生活前半+ヴィルフリートの一日神殿長まで。フェルディナンド怖い。ジルヴェスター情けない。
・波野先生の描き下ろし番外編は「神官長とスープ」。
・香月先生の書き下ろし短編はモニカ視点「ローゼマイン様のために」。領主の息子が来ると聞かされたモニカ達は?

第三部7巻
入れ替わり生活後半~シュツェーリアの夜前半まで。
・波野先生の描き下ろし番外編は「情報の価値」。ほぼ収穫祭編ですね。レッサーくんのお腹が!(笑)
・香月先生の書き下ろし短編はギュンター視点「ハッセの土産話」。

コミックス8巻はついに素材採集です!まだ2話しか更新されていないので、コミックス発売まではもうしばらくかかりそうですけど、楽しみですね。待ちきれない方はコロナEXへどうぞ。


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第三部 領主の養女Ⅲ(3)(通算第10巻)



表紙のローゼマイン、モコモココート可愛い!

本人はよくわかっていないかもしれないけど、ちっちゃいけど何を着ても似合うしいいなあ。

口絵はフリュートレーネの夜。後ろの方で間抜けな顔を晒す男性陣、気の毒に…

この巻の口絵は人物紹介いらないですね。


オーディオブックもあります。Audibleでどうぞ。


本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女3」 香月 美夜 (著), 井口 裕香 (ナレーション), Audible Studios (出版社)


この巻は素材採集がメイン…と思いきや、ハッセの処罰やら初めての子供部屋やらお披露目やらで、イベント満載。

貴族と平民の差をしっかり思い知らされます。

そしてまたしても領主候補生のみに許された魔術を目にすることに…

※書籍の最後には採集地図もついていますよ。お見逃しなく!



あらすじ


印刷機の改良で、前世の考え方が通じなくて困惑するローゼマイン。

利益と評価の行先が決まっているため、鍛冶職人と木工職人の協力が困難だという。

設計図を買うことでも利益をもたらすことを提案し、丸く収まる。

設計の話にはついて行けないと言いながらも、いざ設計図が出来上がってくると、親方としての手腕を発揮してくれる頼もしいインゴ。イイね!

側仕えを増やしたローゼマイン。これでフランの負担が減るといいのだけど。

お披露目用の簪を母さんとトゥーリに挿してもらってゴキゲン。


城では、今までフェルディナンドに仕事を押しつけていたジルヴェスターが悲鳴を上げているが無視だ。

神官長の心身の健康は私が守るんだから!

お披露目が始まると、子供達のフェシュピールの演奏レベルが階級差と直結していることにショックを受ける。

しかしそんな驚きも、自分のやらかしですぐに忘れられてしまった。

なぜか演奏で祝福が飛びだしてしまったのだ!(これから何度もある祝福テロの一つ)


子供部屋を楽しい勉強部屋に変えることに成功! ヴィルフリートもご機嫌だしイイ感じ。

奉納式ではフレーベルタークの小聖杯を預けられるが、なんとか満たして思ったより早く終わった。

前神殿長の秘密のお相手から来た魔術具の手紙に返信してしまい不安になるが、神官長とはあまり突っ込んで話せずに終わる。

読者も同時に不安になる。これがどのような結果を生むのか。報連相大事

秘密のお相手かもしれないけれど、犯罪者の手紙を隠しておくことは絶対アウトでしょう。


フェルディナンドにライデンシャフトの槍を渡され、魔力をこめるローゼマイン。

どうやら冬の素材は冬の主(あるじ)らしい。

騎士団総出で倒すような魔獣にローゼマインが止めを刺せると考えたフェルディナンドが怖い。幼女を酷使してない?

なんとかシュネティルムを倒し、魔石を得たローゼマイン。初めての素材採集成功である。


なんと神々の絵本が貴族院の勉強に役立つことが判明! 教材として販売が許可される。

そしてハッセへの罰が決定。試されるローゼマイン。

ジルヴェスター、ヴィルフリートにもこのくらい厳しくすればよかったのにね。


そんな中、美少女護衛騎士アンゲリカが成績不良から退学の危機に陥ったと両親から申し出がある。

彼女のために「アンゲリカの成績を上げ隊」を結成し、他の護衛騎士たちと共に貴族院の学習をするローゼマイン。

そしていよいよ、ハッセへ向かう日がやってきた…



書き下ろしSSなど


()内は大まかな内容。

特典SSとは、TOブックスオンラインストアや本好き応援書店で紙書籍を購入すると付いてくる書き下ろし短編です。

「Web版」と書かれていないものは書籍化にあたっての書き下ろしです。

  • プロローグ:フラン視点
    (主従は似るようです)Web版第217話前半の加筆・視点変更
  • エピローグ:エックハルト視点
    (ローゼマインは存在自体がおかしい)
  • 短編1:「冬のお披露目と子供部屋」
    ランプレヒト視点(ヴィルフリート様の側近として)Web版第205話・206話
  • 短編2:「神官長の専属」
    インゴ視点(俺は神殿長の専属じゃないのか?)
  • 特典SS: 「私の進む先」
    ランプレヒト視点(ヴィルフリート様の護衛騎士を続けるか否か)(短編集Ⅰ収録)


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感想(ネタバレあり)


この巻も何度読んでも面白い。

とにかくイベントがてんこ盛りで、終わったと思ったら次、という感じで最後まで続きます。

その上後のための伏線もたくさんあるので、あまり読み飛ばせません。

下町の話は流し読みしても困らないけれど、貴族関係は後々とても重い話になる可能性があるので、お気楽な主人公目線ではなく外野目線でしっかり読みましょう。

貴族社会は厄介。思い付きで発した言葉、衝動的な行動がどこにどう影響を与えるかわからない。

ビンデバルト伯爵事件では、トゥーリが姉としての幼い正義感から起こした行動が隙を作ってしまった。


貴族の常識を知らなければ、問題が起こった時はハッセと違って収拾するのは大変なことになる。領主の権力だけではどうしようもない事態になるのだ


正しいことを行うにも反発はある。力を蓄えたり、根回しをしたりする時間が必要になることも多い。性急に正したら別のところが歪む可能性もある。多少不愉快でも放置して様子見ができるようになりなさい


byフェルディナンド。こういうことを、読者もローゼマインも学ぶ必要があるらしいのですよね。

それでも第四部では、懲りずに麗乃時代の学生意識で行動するローゼマインが、様々な騒動を引き起こして周囲を悩ますのですけれど😔。


この巻では、初登場メンバーが大勢います。

神殿での新しい側仕え、城では後の重要メンバーが続々と。

今覚えなくても、今後何度も出てくるので大丈夫です。
後で読み返した時に、ああここで既に登場してる!となって楽しいかも。



第三部Ⅲの超簡単な時系列


エーレンフェストの行事・儀式を中心にした時系列です。

季節をまたぐのでちょっと見づらいですが、ご参考までに。


第三部3時系列
第三部Ⅲは冬から春。



資料 素材採集の位置関係


とても簡単な位置関係です。薄茶色の部分がエーレンフェスト直轄地。

水色の部分はギーベの土地部分です。

ちゃんとした地図は書籍第三部Ⅲあとがき前にありますよ!


超簡易な採集地図
簡易な採集地図です



コミカライズ版 なし


まだコミカライズ版はここまで追い付いていません。

いつ頃になるかなあ…波野先生、よろしくお願いします!


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第三部 領主の養女Ⅳ(4)(通算第11巻)



この巻の表紙は、新しいデザインの衣装を作るコリンナとトゥーリですね。

口絵もブリギッテの新しい衣装が出てきています。確かにこの巻はブリギッテ関係のエピソードが多いですね。

初登場メンバーが2人いますよ。


オーディオブックもあります。Audibleでどうぞ。


本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女4」 香月 美夜 (著), 井口 裕香 (ナレーション), Audible Studios (出版社)


この巻は落ち着いた表紙とは裏腹に不穏な事態の始まりの巻です。

ブリギッテの衣装と素材採集成功は明るい話題。

でもその他の話題は…何やら不安になってきます。

※書籍の最後(あとがき前)には採集地図がついていますよ!



あらすじ


トゥーリはギルベルタ商会のダプラ見習いになることになった。

しかしルッツと買い物に出て、これから働く場所では自分の常識や金銭感覚が通用しないことを知り衝撃を受ける。

さらに、ローゼマインが領地外に出る可能性を指摘され、ダプラだとついて行くことができないと悩む。


ブリギッテの新しい衣装の仮縫いで、ダームエルが彼女に一目ぼれ。

しかしブリギッテの話によると、魔力差が大きいから最初から対象外なのだと言う。

魔力差も結婚の障害になるんだ、と知見を得るローゼマイン。

でもそれなら、魔力差をなんとかすれば結婚できるのかも?


新しい印刷機に興奮するローゼマインだが、平民の雇用制度の不自由さを知り、印刷を広めるために頭を捻る。

壁にぶつかってもタダでは起きない女、ローゼマイン。こんどは手押しポンプだよ! 

利益がないと作らないって言うんなら、設計図の使用料取っちゃうよ!


ベンノが印刷業を別商会として独立させたいとのことで、プランタン商会という名前を授ける。

そして失恋したフーゴを神殿に取り込む。これでエラの負担がへるだろう。


領主会議が始まるので、留守番組の領主一族は、礎の魔術に魔力供給をすることに。

魔力供給自体は慣れっこだけど、供給の間は初体験。

領主夫妻と、魔力を登録した領主一族のみが入れるらしい。

しかも領地を支える礎の魔術はまた別な所にあって、領主しか入れないという。

貴族社会の秘密をまた一つ知ったローゼマイン。


新しい衣装のことを報告していなかったことを叱られて、自分の考えが領主の養女の影響力をまったく考慮していなかったことを知る。

ベンノが気をまわしてくれて助かった。

ここでは前世の常識、平民の常識のいずれも通用しないのだ。

お茶会で衣装のお披露目を行い、社交術をちょっぴり学ぶ。


アンゲリカが全ての科目に合格して帰ってきた!

ご褒美として約束通り彼女の魔剣に魔力を注いで、説教剣シュティンルークを誕生させる。

フェルディナンドの人柄を受け継ぎ、口うるさくて説教臭いものになってしまったが、

そもそも貴族院へ行っていない自分が魔力を注いではいけなかったのだ。反省。

また軽い気持ちから、ダームエルに自分の魔力の圧縮方法を教えるのだが…


ジルヴェスターたちが領主会議から帰ってきた。

なんと、あの飛んで行ったお手紙の主に、前神殿長の死を知らせていなかったことを責められたという。

手紙の主は前神殿長の姪でジルヴェスターの姉。

いつの間にか現アウブ・アーレンスバッハの第一夫人になっていた。

姉と弟の間にはとても深い確執があるらしい。

秘密のお手紙について報告していなかったことを、フェルディナンドから後で厳しく叱られるローゼマイン。

だから報連相は大事だって…



書き下ろしSSなど


()内は大まかな内容。

特典SSとは、TOブックスオンラインストアや本好き応援書店で紙書籍を購入すると付いてくる書き下ろし短編です。

「Web版」と書かれていないものは書籍化にあたっての書き下ろしです。

  • プロローグ:トゥーリ視点
    (街の北側に住むなら意識を根本から変えなくちゃならないの?)
  • エピローグ:グローリエ視点
    (あの平民を早く痛めつけたいけれど…)
  • 短編1:「お茶会」
    フロレンツィア視点(警戒対象はゲオルギーネ様だけではなかった)Web版第253話
  • 短編2:「ダームエルの申し出」
    ブリギッテ視点(一年後の星結びの夜が楽しみ)
  • 短編3:「イルクナーでの滞在」
    ギル視点(ローゼマイン様、喜んでくれるかな)
  • 特典SS: 「弟妹との時間」
    ヴィルフリート視点(ローゼマインを褒めるのは難しい)(短編集Ⅰ収録)


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感想(ネタバレあり)


貴族社会と領主一族についてたくさん知識が得られる巻です。

そして、平民の中でも明らかな身分差があります。

トゥーリはギルベルタ商会のダプラ見習いになることになりましたが、同僚は裕福な家庭の子供達ばかりになるし、

そもそも街の北側に住むのだから、これまでの常識や価値観を一度見直さなければなりません。

これは現代日本でも同じなので、読者には理解しやすいですね。トゥーリは大変ですが。

(娘が複数の大学に合格した時「すっぴんで行ける所にする」と言っていたことを思い出しました)


実はローゼマインというお財布がドーンと後ろについているので、トゥーリは金銭的に全く問題ないのがありがたい。

本好きの下剋上は、主人公がどんどんお金を稼いで成り上がっていくので、かなり早いうちから経済的な心配がなくなります。

そのおかげで、読者はストーリーそのものに集中できるようになるのが嬉しいですね。

ギュンターの家も、働き手が増えれば暮らしが楽になるでしょうし。先は明るいです。


ローゼマインの方は、新しい印刷機ができて大興奮!

これで本がどんどん増やせるよ! ガンガン儲けるぞ!

リーズファルケの卵の採集も成功したし、あと一息で普通の子供になれるはず!

神官長もカンフェルとフリタークを鍛えるみたいだし、何だか楽しそう。


城へ行くと、アンゲリカが戻ってきました。

約束通り彼女の魔剣に魔力を注ぐとフェルディナンドをコピーした説教剣ができてしまいます。

残念だけど、アンゲリカにはちょうどいいよね。


さて、理解しやすい場面はそこまで。城へ行ってからは貴族社会です。

神官長が還俗して正式に後見人になったり、

衣装のお披露目では元婚約者が領主の養女の後ろ盾を欲して近づいてきたり、

ゲオルギーネがなぜか第三夫人から第一夫人になっていて、ローゼマインの迂闊な行動が原因でエーレンフェストを訪問することになったり、

それに伴うディルクの従属契約について相談したら怖い話を聞かされたり、

ぬるい再教育のせいでヴィルフリートがまたやらかしたり。

とにかく今後が不安になるようなできごとや情報が続きます。


ヴィルフリートの再教育は基本的には側近が行うので、旧ヴェローニカ派が多いヴィルフリートの環境は、ローゼマインの環境とは大きく差があるのです。

両親がいくら意識改革を行おうと試みても、幼い頃からそばにいる側近の言葉の方が響きやすいこともある。

ヴィルフリートのこれからがちょっと心配ですね。

それにシキコーザの母親の恨みがどのように表面化するのか、とても不安。


短編の最後はギル視点で、イルクナーでの生活の様子。

ルッツやギル、灰色神官たちの成長がまぶしい。

ルッツがダミアンを見る目が鋭すぎて驚きです。このイルクナーの生活だけで中編が書けそうじゃないですか?

※フォルク、カーヤ、ノルト、バルツなど、後から名前の出てくるメンバーですが、この頃から頑張っていたので完結の頃には熟練工になっていそう。



第三部Ⅳの超簡単な時系列


エーレンフェストの行事・儀式を中心にした時系列です。


第三部4時系列
第三部Ⅳは春から秋まで。



コミカライズ版 なし



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第三部 領主の養女Ⅴ(5)(通算第12巻)



表紙は、ローゼマインと新しくキャラデザされたシャルロッテ、ボニファティウスとアンゲリカ。

何やら危険な目に遭いそうです。


オーディオブックもあります。Audibleでどうぞ。


本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女5」 香月 美夜 (著), 井口 裕香 (ナレーション), Audible Studios (出版社)


第三部最終巻。表紙からして不穏ですね。4巻エピローグでの企みが実行されるのでしょうか。

口絵の中央はボニファティウス。この巻で存在感を示します。

アンゲリカもコルネリウスも頑張るんだけど、この絵から見てもわかるようにまだまだ幼いよね…

※この巻は本編が半分くらいで、あとは他者視点の短編が続きます。



あらすじ


マインがローゼマインになってから1年以上が経った。

今ではローゼマインとプランタン商会は、隠し部屋に入って以前のように遠慮のないやり取りをするのが常になっていた。

しかしいつまでもそれが許されるはずがない。

気の置けないやり取りができなくなった時のための準備が必要だ。

穏やかだが冷静で有能なフリッツと話しながら、ベンノは予測を立て始める。


ハッセのリヒト達を教育するという目的で、ローゼマインは灰色神官をハッセの冬の館に滞在させることにする。

リヒトだけでなく灰色神官たちにもいい勉強になるし、グリム計画を進められる。わたし、頭いい!


去年失敗してしまったリュエルの実の採集のため、フェルディナンドとカルステッドが合流した。

カルステッドがもたらした不穏な情報に胸がざわつく。

でも貴族の情報集めってすごい。エルヴィーラは単にミーハーで情報を集めているわけではなかったのだ。

再挑戦は無事成功! やったね! これでわたし、普通の女の子になれる。健康になれるよ!


……と浮かれてフェルディナンドの部屋へ行ったローゼマインは、厳しく詰問される。

なんと、ダームエルの成長ぶりが異常なのだそうだ。

その原因がローゼマインにあるのではないかと。

よくよく話を聞くと確かにその通りらしいが、解せぬ。

初めて知ったことだが、効果的な魔力圧縮の方法というものは貴族にとって非常に貴重な情報で、簡単に他人に教えるようなことではないらしい。

領地に広げてこそ役に立つものであるという。

そのような常識を知らずにダームエルだけに教えたことで、フェルディナンドに非難されるローゼマイン。

理不尽だ! と思いつつも、その知識をエーレンフェストのために生かすことに条件付きで同意する。

絶対に譲れない条件は、命にかかわるような危険を避けること。

すなわち、魔力圧縮を学んでいない者には教えない

貴族社会では、洗礼前の子供は命があるものと数えられていないらしいが、それは無視だ。絶対に譲れない。


さて、貴族が赴くことになって貴族対応を絶賛教育中のイルクナーだが、どうやら灰色神官のフォルクに縁談が持ち上がっているようだ。

しかしフォルクの値段を聞いて「無理です」とうなだれるギーベ・イルクナー。

頑張れば稼げると思うのに、考え方が真っ直ぐすぎる。

稼ぐことに頭を使うように再教育が必要かもしれない。


城に戻って義妹シャルロッテとの対面をはたし、有頂天になるローゼマイン。

シャルロッテにおねだりされて、彼女の洗礼式を担当する気満々のローゼマインだが、覚えることがあり過ぎるのでユレーヴェを使うのなら無理だという。

健康か、お姉様としての威厳か…二者択一を悩んでいたところ、魔力圧縮講座を何より優先したいフェルディナンドに丸め込まれ、ユレーヴェを後回しにされる。

自分の都合で被後見人の健康を簡単に後回しにする後見人。後悔しなきゃいいけどね。


そんな彼等に、まったく予想外の方面から一の矢、二の矢と攻撃がやってくる。

長年好き放題に領地をかき回していたヴェローニカを、やっと排したエーレンフェスト首脳陣。

彼等には、まだまだ危機感が不足していた。



書き下ろしSSなど


()内は大まかな内容。

特典SSとは、TOブックスオンラインストアや本好き応援書店で紙書籍を購入すると付いてくる書き下ろし短編です。

「Web版」と書かれていないものは書籍化にあたっての書き下ろしです。

  • プロローグ:ベンノ視点
    (いつまで隠し部屋が使えるか…)Web版第256・257話加筆修正
  • エピローグ:フェルディナンド視点
    (やっと起きたか馬鹿者)Web版第278話冒頭部分

  • 閑話集「ローゼマインが不在の2年間」
  • 閑話1:「洗礼式の日のおじい様」
    ボニファティウス視点(わしの孫娘を害する者は許さぬ!)Web版第271・272話
  • 閑話2:「お姉様の代わり」
    シャルロッテ視点(わたくしだって頑張れますわ)Web版第273話
  • 閑話3:「二つの結婚話」
    ギーベ・イルクナー視点(ブリギッテの幸せとは)Web版第274話
  • 閑話4:「オレ達に休息はない」
    ルッツ視点(マインが休みでも暇になるわけじゃなかった!)Web版第275話
  • 閑話5:「神殿の二年間」
    フラン視点(神殿長がお休みでも神殿が変わらないように)Web版第276・277話

  • 短編1:「下級貴族の護衛騎士」
    ダームエル視点(私の認識が甘かった)
  • 短編2:「困った男の調理法」
    エラ視点(わたしは男の趣味が悪いのかも)
  • 特典SS:「妹を守るために」
    コルネリウス視点(ハルトムートを黙らせるぞ)(短編集Ⅰ収録)


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感想(ネタバレあり)


この巻に当たる部分をWebで初めて読んだときは衝撃を受けました。

ローゼマイン、何回命を狙われるの?

ということと、ユレーヴェに浸かった時間の長さにですよね、もちろん。

命を狙われる度に大きな代償を支払わされる主人公。

主人公視点だとシリアス度がかなり弱まることで、読者もずーんと落ち込まずに没頭できますが、

時々他者視点が入って、彼女の感情が垣間見られることがあります。

第四部からはそんな場面が多くなりますので、行間を読んでくださいね。


さて、プロローグはベンノ視点。

当たり前のように隠し部屋を使うローゼマインと彼等だが、いつまでもそれが許されるはずがないことは、大人であるベンノはよくわかっている様子。

つまり読者もそれに備えろということ。

気楽なやり取りができなくなったら、マインはどうなるんだろう。

母親目線で心配してしまいます。

フェルディナンドは優しいようで大抵はものすごく冷たいですからね。

まあのちのちその理由がわかるわけですが…

素直に甘えさせてくれたり、叱ってくれたりする存在、欲しいですよね。


リュエルは無事ゲットできました! さすがお父様! さすが神官長!

ダールドルフ子爵夫人がいやな噂をばらまいているみたいだけど、実感できないローゼマイン。

とにかく今はユレーヴェだよ! 健康になるんだもんね!

…と読者も彼女の虚弱さが治ることを心待ちにしていたところ、なんと魔力圧縮について問いただされました。

どうやらローゼマインの魔力圧縮方法は普通じゃないらしい。

そして魔力圧縮方法は簡単に教えちゃいけないらしい。

ベンノにも知識を安売りするなとさんざん言われていたけれど、まさかそんな貴重なものだとは知らなかった。

しかし知らなかったでは済まさず、厳しく問い詰めるフェルディナンド。

彼は誰よりもエーレンフェストのために尽くそうとするので、ローゼマインがそのような貴重な知識を領地のために使おうとしなかったことが理解できない。

理不尽な叱責を受けますが、なんだかんだで知識を広めることにしたローゼマイン。

すぐに条件をつけました。


もうこの辺りから、研究オタクのフェルディナンドが魔力圧縮を試したくてしょうがないことが分かるんですよね。

もちろん、話を聞いたジルヴェスターやカルステッドも。

ローゼマインの健康はいったいどうなるんだろう。


シャルロッテのヴィジュアル、縦ロールの衝撃! …は置いておいて。

お姉様になることで浮かれてしまうローゼマインがかわいい。

魔力圧縮方法という利益だけを欲する男たちが鬱陶しいよ。

そんな女の子たちがお茶会を楽しんでいる所に乱入するヴィルフリート。

彼は旧ヴェローニカ派の大人たちに騙されて、消せない罪を負ってしまいます。

これが4巻エピローグの計画だったんですね。

今後も絡んできそうな旧ヴェローニカ派の面々、エーレンフェストの発展には障害となるとしか思えない。


やっとヴィルフリートの一件が片付いたと安心したのもつかの間、今度はシャルロッテがさらわれます。

でも真の狙いは身食いの平民で、助けに入ったローゼマインは大きな犠牲を払うことになります。

口うるさい被後見人で良かったね、フェルディナンド。

ユレーヴェを洗礼式の後にしていたらどうなったことか。

完璧主義者の彼は予想外の事態による失敗をいつまでも気に病むめんどくさい男です。



第三部Ⅴの超簡単な時系列


エーレンフェストの行事・儀式を中心にした時系列ですが、この巻は長いので3つに分けました。

3年間のうち大半が水色になっていて、ユレーヴェ漬けの期間の長さがわかると思います。

※クリックで拡大します(PCの場合)。





コミカライズ版 なし


コミカライズ版がここまで来るのはいつ頃かなあ。

最新話はこちらで読めますよ。


to-corona-ex.com



第三部をアニメで観たい!けど…


2023年12月、第三部アニメ化決定が発表されました!

しかしまだ詳細は不明です。乞うご期待!かな…

決まったらXや特設ページで発表されると思いますよ。

「本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜」特設サイト