この記事では、本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~の第五部 女神の化身Ⅰ~Ⅲ(1~3)について、巻ごとに紹介しています。
第五部から新側近が加わりました。イラスト付きで紹介しています。
また、資料は初めて入った地下書庫についてです。今回は入室に至るまでを図解してみました。
「本好きの下剋上」は、巨大創作サイト「小説家になろう」で連載、完結済の作品です(リンククリックでWeb版のページへ)。
第五部は全12巻。だいたい第461話~677話(最終話)にあたります。
第五部はとても長いし内容が濃いので四つに分けました。この記事が一つ目になります。
書籍の内容を大別すると、
- Ⅰ~Ⅲ:貴族院3年生編
- Ⅳ~Ⅵ:エーレンフェスト+領主会議編
- Ⅶ~Ⅸ:本物のディッター編
- Ⅹ~Ⅻ:中央の戦いと就任式編(完結)
となっています。
二つ目にあたる第五部Ⅳ~Ⅵの記事はこちらです。
なお、「本好きの下剋上」の概要については別記事で紹介しています。まず全体を把握されたいかたは、先にそちらをお読みください。
第一部~第四部の紹介はこちら(コミカライズ版含む) ↓
第一部
第二部
第三部
第四部
残念ですが、第五部のコミカライズはまだ始まっていません。
もう少し第四部が進んでからにするためか、それとも第二部の鈴華先生の連載が終わるのを待っているのか…
ファンとしては早く始まってほしいですけど、壮大な物語なので作家さんが見つからないのかも。
マンガで見たいなあ、第五部。
- 一部ネタバレあり。
- あらすじは筆者が作成したものです。
- 感想はあくまで筆者の個人的な印象に基づいています。
- 資料は筆者が作成したものです。
第五部 聖女編 エーレンフェストの聖女→女神の化身?へ
またしても涙、涙となった第四部の終わり。ついに後見人で家族同然のフェルディナンドを失ったローゼマイン。
第二部で下町の家族を失い、第三部で毒により貴重な2年間を失い、第四部半ばで下町のみんなとのふれあいを失いました。
さらにフェルディナンドを失って、ローゼマインの心の穴は大きくなるばかり。
貴重なストッパーであり、主治医であった存在を失うことでもありました。
ローゼマインは、エーレンフェストは大丈夫なのでしょうか。
そして敵地へ行ったフェルディナンドの運命は?
第四部までのおさらい
第四部では、アダルジーザの離宮・グルトリスハイト・聖典の秘密などユルゲンシュミットの成り立ちに関わる情報がちょっぴり明かされました。
また、貴族院では採集地へのターニスベファレンの出現・領地対抗戦での襲撃+複数のターニスベファレンの出現など、目的やターゲットが不明な事件がいくつか起こりました。
エーレンフェスト内部で言えば、フェルディナンドをエーレンフェストから奪うというゲオルギーネの暗躍により、一層旧ヴェローニカ派とゲオルギーネ派に対する警戒心が強まり、粛清計画が進行中です。
そんな中、貴族院に到着した直後、なんとマティアスとラウレンツが明確に旧ヴェローニカ派を裏切って密告!
貴族院生活は無事にすむのでしょうか。
※第四部から書籍に、エーレンフェストだけでなくこの異世界「ユルゲンシュミット」の地図がつきました!
神様が協力して何もないところに創られた国なのでキレイな円形。
でも貴族院はこの陸地の一部ではなくて、転移陣でしか行くことができない場所にあるそうですよ。
第五部は地図を見た方が理解しやすいと思いますので、領地名やギーベの土地の名前が出たら場所をチェックしてみてください。
第五部 女神の化身Ⅰ(1)(通算第22巻)
オーディオブックは2024/4/26配信予定。Audible でどうぞ!
[22巻] 本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身1」 香月 美夜 (著), 井口 裕香 (ナレーション), Audible Studios (出版社)
Audibleについてはこちらの記事で紹介しています。
第五部Ⅰの表紙は、御加護の儀式で始まりの庭へ向かうローゼマイン。
ほぼ白い木しかない真っ白な背景が、彼女の孤独感を表しているようで悲しい。頑張れ、マイン。
あらすじ
プロローグはヒルデブラント王子視点。
子供の素直だけど頑固な心でローゼマインを想っているため、早々に婚約者が決められてしまった事実を咀嚼しきれない。
そんな彼の不満に付け込み、耳に心地よい言葉を囁いてくるラオブルート。
彼は王族の信頼厚い中央騎士団長で、その言葉は重みがある。
ラオブルートが「ローゼマインは善意でもフェルディナンドはそうではないので彼には警戒すべき」と言えば、ヒルデブラントは頷かざるを得ない。
なぜなら「思慮の浅い子供が利用されることは多い」から。そのために側近があるのだから。
さらにラオブルートの言葉で知った、婚約を避ける手段。
「グルトリスハイトを得て王になれば王命を廃することができる」と。
母も肯定してくれた、とヒルデブラントは思った。
マティアスとラウレンツの密告によって粛清が早まった。
旧ヴェローニカ派は自分達の将来を決めなくてはならない。
1人の1年生が無思慮な行動を取ったが、なんとか収まった。
みんなの心が乱れる中、フェルディナンドの言葉で気持ちを立て直し、寮内をまとめる領主候補生たち。
側近達の思いも知ることができて気持ちが引き締まる。
旧ヴェローニカ派の子供達にだけ同情しているのは良くないのだ。
図書館に新しい上級司書が入ったため、シュバルツとヴァイスの主が譲られることになった。
ソランジュのために良かったと安心するローゼマイン。
本好きのお茶会の話が出るとヒルデブラントが子供らしい望みを口にしたが、領主候補生コースの教師になるというエグランティーヌが同席してとりなしてくれる。
さすがエグランティーヌ様! 裏読みをしないローゼマインには彼女への好意しかない。
神々の御加護を得る儀式で、祭壇上の神々の像が動き、以前シュタープを得た白い広場へ導かれたローゼマイン。
もしかして、卒業間際にシュタープを得ていた頃は、加護を得るついでにシュタープもここで取っていたのかもしれない、と気づく。
そして、ダンケルフェルガー以外で複数の加護を得た領地はあまりないというのに、なんとヴィルフリートとローゼマインは多数の加護を得るという驚きの結果となった。
さらにフィリーネは適性以外の加護を得、ローデリヒは全属性となっていた。
このことがどんな結果を生むのかまだわからない。
多数の加護を得るということが何を意味するのか、ローゼマインは直後の音楽の授業で知ることになる。
演奏中に久々の祝福テロが飛び出したのだ。しかも止めることができない祝福である。
魔力が溢れてコントロールができない。シュタープの限界を超えているらしい。
どうしたらいいのかわからないまま寮に戻り周囲に相談するも良い案は浮かばないが、取りあえずできるだけ消費しようということになった。
祈ることがテーマである奉納舞の授業は危険だ。
案の定、祝福テロ防止のために魔石だらけになって舞った結果、ピカピカ奉納舞となって却って目立つことになった!
政変後に棚からぼたもちで順位を大きく上げたエーレンフェストが目立つと、下位の領地から恨みを買うだけでなく、王族や上位領地からも注目されることになる。
そういったことを加味したヒルシュールの忠告で、エーレンフェストはダンケルフェルガーと加護についての共同研究を行うことになった。
ヒルシュールに会うためにやってきたジルヴェスターの口から、学生達に粛清の結果が明かされる。
さらに秘密裡に教えられたトルークの存在。ゲオルギーネの用意周到さ。
背筋が寒くなって一気に不安になるが、シャルロッテの一言で前向きになれたローゼマイン。
そしてジルヴェスターの貴重な助言で魔力溢れ問題はなんとか解決した。皆は胸をなでおろす。
いろいろあったが、ローゼマインには、マティアスとラウレンツ、ミュリエラ+グレーティアという旧ヴェローニカ派の名捧げ側近が増えることになった。
書き下ろしSSなど
()内は大まかな内容。
特典SSとは、TOブックスオンラインストアや本好き応援書店で紙書籍を購入すると付いてくる書き下ろし短編です。
「Web版」と書かれていないものは書籍化にあたっての書き下ろしです。
- プロローグ:ヒルデブラント視点
(私はグルトリスハイトを手に入れて王になりたいのです) - エピローグ:レスティラウト視点
(ローゼマインをエーレンフェストから出してやろう) - 短編1:「本の世界と現実」
ミュリエラ視点(恋物語について語れる幸せ) - 短編2:「自分の役目と知識の番人」
オルタンシア視点(わたくしは女神に忠誠を誓い知識の番人になります) - 特典SS:「胸に秘めた怒り」
バルトルト視点(マティアスの密告さえなければ今頃は)(短編集Ⅱ収録)
目次へ
感想(ネタバレあり)
ああああ! またしても悪い大人に操られる子供がここにいるよ!
フェルディナンドに恨みを持つラオブルートが、忠言めかしてヒルデブラントにとんでもないこと吹きこんでるよ!
そんなこととはつゆ知らず、うかつな励ましをしてしまう母親のマグダレーナ。もうなんて言うか…
息子が政略結婚をすることになると知っていたであろう母親が、その息子の前で自由恋愛を自慢するのもどうかと思うしねえ。
マグダレーナ様カッコいいんだけど、どうにも視野が狭い人なんだよね。
フェルディナンドが去って、喪失感を持て余すローゼマイン。
できるだけ忙しくして気持ちを紛らし、親睦会ではヒルデブラントの笑顔をうらやむ。
幸せそうでいいなぁ、と思うのだ。去年は誰かの笑顔を見て羨ましくなることがなかったので、どうしてそんな気分になったのかわからない。
読者も落ち込みますよね。
しかし頑張って先を読み進めれば、旧ヴェローニカ派の粛清が終わってホッとするし、加護を得る儀式やらなんやらでまたまた注目されちゃいますし。
読者の喪失感もマインのやらかしと共に薄らいでいきます。さすが香月先生、ストーリーテラーですね。
でもねえ、音楽の授業で祝福テロが発生したり、祝福を我慢したらピカピカ奉納舞とか、
これらは全部、加護が多くてシュタープで扱いきれる魔力量を超えてしまったから発生したことですよね。
本来は加護の儀式を経てからシュタープを取得するものであり、そうすべき理由があった。ローゼマインが文句を言いたくなるのもわかる。
理由を理解しないまま安易にそれまでの慣習を廃すると、大きな弊害がある
知識の断絶って怖い。やはりグルトリスハイトの紛失が影響しているのでしょうか。
でも領主候補生コースの授業で魔力をめちゃくちゃ吸い取られたのはなぜ?
これはまだわかりません。
さて、ダンケルフェルガーだけでなく、グンドルフ先生にうまく乗せられて(みずから乗っかったようにしか見えないけど)ドレヴァンヒェルと、試験合格のためにアーレンスバッハとも共同研究をすることになりました。
うーん、ドレヴァンヒェルとの共同研究担当がイグナーツとマリアンネになったのが心配だけど、頑張ってほしい。
ローゼマインばかりが目立つわけにはいかないものね。側近だって大変だし。
これだけなんやかんやで目立っていれば王族や上位領地からも関心を持たれて当然なのですが、ローゼマインは目立つ実績を挙げているとは考えていないんですね。
ピカピカ奉納舞しか問題視していないし。
それに上に書いたように、今回はどうも不可抗力のことが多すぎる。
側近は何が起こるか予測不可能なため事後処理が大変。
今や「王族に呼ばれた!さあ大変」とか「上位領地にイチャモンを付けられた!どうしよう」というような内容で対処方法に悩んでいる段階ではなくなっています。
なんだか常に周囲の反応を窺って、主のために実績を分捕ろうとしているヴィルフリートの側近と比べると、実績挙げすぎの主の側近では、肝っ玉の据わり具合に差がついていますよね、多分。
いよいよ本格的に王族が絡んできました。
アナスタージウス王子からの依頼は、領主会議の星結びの儀式で祝福を贈ってほしいということでした。
グルトリスハイトを持たない王様は大変らしいです。
でもいいの⁈ だって神殿長とはいえ未成年だよ! ちっちゃい神殿長だよ!
中央神殿長って偉そうに聞こえるけど、その人を差し置いてやっちゃって本当にいいのか?
そして図書委員の仕事が変更になりました。
魔力供給ではなく、上級司書の鍵がなければ開かない書庫を調べるための協力、と。
具体的には、地下書庫の鍵の管理人の一人になってほしいということ。
さてさて、この話、どうなっていくのでしょうか?
地下書庫がどんなところか気になりますね! 続きと資料は次巻で!
この巻では貴族院の側近の資料をつけますね。
資料 貴族院のローゼマイン側近(3年生)
キャラのイラストは無料イラスト作成サイト かんたん似顔絵くんβ | 無料で使える似顔絵メーカー で作りました。
原作に寄せてはありますが、服装や髪型などは現パロみたいになっています。
オリジナルイラストが描けない筆者のせいです💦 お許しを。
なお側近視点SSは、書籍本編の後ろに入っているもの・第五部以外のものは省いています。
<文官>
フィリーネ
3年生、下級貴族。
実は跡取り娘だが、弟とともにローゼマインの庇護下に入る。
魔力が少ない弟コンラートは現在孤児院の洗礼前の子供部屋にいて、ディルクと仲良し。
下級貴族とはいえフェルディナンドに鍛えられたため有能な文官になっているほか、主が混乱したり不満を漏らした時になだめるのがとても上手い、頼れる側近である。
なおダームエルに恋心を抱いているが、ダームエルは全く気付いていない。
フィリーネ視点SS:
第五部は第五部Ⅷのみ。
ローデリヒ
3年生、旧ヴェローニカ派中級貴族出身。
父親の虐待から逃れるため、粛清前に名捧げを行って側近に入った。
作家の才能があり、彼が書いた「ディッター物語」は男子生徒に大人気。
ローゼマインから文才を認められているものの文官としての能力は高くないため、陰でハルトムートにチクチクいじめられている。
ローデリヒ視点SS:
第五部はなし。
ミュリエラ
5年生、旧ヴェローニカ派中級貴族出身。
ギーベ・ベッセルの第三夫人の娘として生まれたが、父方の叔母に子供がいなかったため叔母夫婦の養女となる。
しかしその後実子が生まれたことから、養子先では存在を無視されてきた。
養母も実父もゲオルギーネに名捧げしていたため粛清で処刑。ミュリエラは名捧げを行ってローゼマインの庇護下に入る。
恋物語オタクで、ローゼマイン成人後はエルヴィーラへの名捧げ変更を許可されている。
ミュリエラ視点SS:
第五部Ⅰのみ。
<側仕え>
ブリュンヒルデ
5年生、ライゼガング系上級貴族。
ギーベ・グレッシェルの跡取りとして教育を受けるが、第二夫人に男子が生まれたため動揺している。
グレッシェル発展のためならばと、ローゼマインからの耳の痛い意見も受け入れて父親に進言し、平民と話ができるよう努力をする柔軟性を備えている。
側近となってからは王族や上位との対応が次々と求められて苦労したが、持ち前の根性?と側近仲間と協力して乗り越えてきた。
主がお茶会で突然倒れたりすることが側仕えとしての成績に影響しているが、頑張っている主にこれ以上の負担をかけたくなくて黙っている。
ローデリヒがそのことに言及しようとしたときにはみんなで黙らせた。
ブリュンヒルデ視点SS:
第五部はなし。確か特典SSのアンケートで候補になりましたが負けたような?
リーゼレータ
6年生、中級貴族。護衛騎士アンゲリカの妹。
優秀な側仕え一族の跡取りとして育つ。元旧ヴェローニカ派のヴィルフリートの側近と婚約中。
側仕えとしての能力はリヒャルダが太鼓判を押すほどだが、中級貴族のため内向きの仕事を中心に動いている。
実はローゼマインの主治医の代わりになるために講義を増やすなどの努力をしている。
リーゼレータ視点SS:
シュミルのぬいぐるみ(本好きの下剋上SS置き場)
グレーティア
4年生、旧ヴェローニカ派中級貴族出身。
実は青色神官と青色巫女の間に生まれた娘だが、親が結婚できなかったため、親族に都合よく使われてきた。
その状況から逃れるために名捧げしてローゼマインの庇護下に入る。
甘い判断を許さず、常に最悪の裏読みをしてくれる貴重な存在。
フェルディナンドに庇護されていたローゼマインを知らない側近でもある。
グレーティア視点SS:
第五部Ⅺのみ。
<護衛騎士>
レオノーレ
(似てなくてスミマセン💦)
6年生、ライゼガング系上級貴族。ローゼマインの実兄コルネリウスの婚約者。
常に冷静で的確な判断ができる、優秀な指揮官としての才能を持つ。
コルネリウスとはラブラブで、エーレンフェストに帰るとダームエルの目の毒になっている。
ローゼマインを客観的に見て忠告することができる貴重な人材。
レオノーレ視点のSS:
第五部はなし。
ユーディット
4年生、中立派の中級貴族。
国境門のあるキルンベルガ出身。父親がギーベ・キルンベルガに仕える騎士。
地方の中級貴族のせいか、貴族とは思えないほど感情表現が豊かなときがある。
ボニファティウスにも認められた投擲の才能があり、レッサーバスに同乗しながら攻撃できる護衛騎士として重宝されている。
ユーディット視点のSS:
第五部は第五部Ⅸのみ。
マティアス
5年生、ゲオルギーネ派の中心であるギーベ・ゲルラッハの息子。
家族を裏切って密告し、旧ヴェローニカ派粛清に大きく寄与した。
ローゼマインに忠実でありたいと願い、名捧げを行った。
ランプレヒトの結婚式の際に襲撃計画があることに気づき、友人ラウレンツとともにアウブ・エーレンフェストに連絡を取ろうと努力した。
騎士ではあるが、文官のように深読みをして先を考える性格。
貴族院の成績は優秀で、指揮官としての才能もある。
マティアス視点のSS:
ドラマCD8特典SS「祝勝会の裏で」(戦いには勝利したが我々を見る周囲の目は変わらない)
ラウレンツ
4年生、ギーベ・ゲルラッハと近しい間柄だったギーベ・ヴィルトルの息子。
異母弟ベルトラムが孤児院にいる。
仲のいいマティアスとともに家族を裏切り、ゲオルギーネの計画をアウブ・エーレンフェストに密告した。
名捧げを行ってローゼマインの側近となる。
大柄なため接近戦が得意で成績は優秀。
普段は軽い言動で場の空気を和ませようとしているが、内面は結構複雑。
にもかかわらずその軽さでグレーティアに対して地雷を踏む傾向がある。
ラウレンツ視点のSS:
なし(そういえば全くない!書籍内にもない!)
テオドール
1年生、ユーディットの弟。
本人の意思を確認せずにユーディットがローゼマインに紹介したため混乱があったが、貴族院限定の護衛騎士となる。
彼自身は父親同様ギーベ・キルンベルガの騎士となることを決めている。
姉よりしっかりしているが、言動がユーディットそっくり。
1年生のため十分な働きができないが、機会を逃さず護衛騎士として動こうと存在を主張している。
テオドール視点のSS:
なし
目次へ
第五部 女神の化身Ⅱ(2)(通算第23巻)
オーディオブックは2024/8/9配信予定。Audibleでどうぞ。
[23巻] 本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身2」 香月 美夜 (著), 井口 裕香 (ナレーション), Audible Studios (出版社)
表紙のローゼマインが勇ましい! またディッターですよ!
まあ実際にはこんなにカッコよくはないわけですが、雰囲気雰囲気。
それにしてもダンケルフェルガーはディッターが好き過ぎですよね。
あらすじ
ローゼマインからの報告を受けて、地下書庫の危険性について考えるフェルディナンド。
あの書庫にはグルトリスハイトを得るための情報がたくさん詰まっている(なんで知ってるの)。
ローゼマインが迂闊に漏らした情報から、陰で彼女を操る(と思われている)フェルディナンドがグルトリスハイトを狙っていると疑われた。
これ以上厄介事を増やして欲しくないと情報を出す決心をする。
アーレンスバッハとの共同研究の成果、録音の魔術具が完成。シュミルのぬいぐるみに入れることに🐰。
王族からの呼び出しに行ってみると、なんと第一王子が。王子勢ぞろい!
で、ジギスヴァルト王子からの質問に正直すぎる答えを返すローゼマイン。
彼女は情報を知った経緯についてごちゃごちゃ尋問するより地下書庫の内容の方が重要ではと図々しく主張して聞き入れられる。
ついにみんなで地下書庫へ。
地下書庫への入口は第二閉架書庫の奥にあった。上級貴族以上でないと階段を下りることもできないという。
下りた先の壁に魔力登録した3本の鍵をはめ込むと、ファンタジーなギミックを経て地下書庫の扉が開いた!
入室を禁じられているローゼマインと、基準魔力量を満たさないヒルデブラント、入室資格のないオルタンシアは控の間で待ちぼうけ。
しかしハンネローレがいても、素養の足りない今の王族には手に余る内容だったようで、ローゼマインが古語翻訳者として求められる。
喜び勇んで入るとシュバルツとヴァイスに「いのりたりない」と言われるが…何?
共同研究の一環で参加したダンケルフェルガーの儀式で、過ぎた祝福を放つローゼマイン。
祝福しすぎると呪いのような効果を生んでしまうらしい。
とりあえず、祝福や加護を得るには祈るだけでは不足、魔力の奉納が必須だという事実が共有される。
下位領地とのお茶会で苛々させられ、ディートリンデとのお茶会でものすごく疲れさせられた結果、ヴィルフリートと喧嘩一歩手前に。
ローゼマインにはなぜヴィルフリートがディートリンデに同情できるのかわからない。
彼女が情報を与えられていないのは環境のために見えるし、そのために不利益を被る可能性のあるフェルディナンドのほうがよほど心配だ。
どちらを身内に感じているかで感情の向く方向が異なる二人。
イライラが爆発した結果、ローゼマインの独断で開催を決定した奉納式。
魔力を搾り取られるとも知らず参加する面々だが、最終的には利を与えられて終了する。
しかし聖女という虚像がどんどん補強されていく結果に。
その聖女を得るために、レスティラウトはⅠ巻で思いついた企みを実行に移すのだが…
書き下ろしSSなど
()内は大まかな内容。
特典SSとは、TOブックスオンラインストアや本好き応援書店で紙書籍を購入すると付いてくる書き下ろし短編です。
「Web版」と書かれていないものは書籍化にあたっての書き下ろしです。
- プロローグ:フェルディナンド視点
(頼むからそれ以上危険な場所に踏み込まないでくれ) - エピローグ:ハンネローレ視点
(これは恋心なのでしょうか?) - 短編1:「聖女の儀式」
リュールラディ視点(ローゼマイン様はやはり聖女なのでしょう)Web版第493・494話 - 短編2:「注意すべき存在」
ジギスヴァルト視点(グルトリスハイトなどなくても何とかなるだろうに) - 短編3:「頭の痛い報告書(三年)」
ジルヴェスター視点(待て待て待て!ちょっと待て!) - 特典SS:「小さな疑惑」
ロヤリテート視点(はて、今何を考えていたのだったか?)(短編集Ⅱ収録)
目次へ
感想(ネタバレあり)
プロローグはフェルディナンド視点。アーレンスバッハでの様子がチラッとわかりました。
やはり緊張感に満ちた生活をしているようですね。
ディートリンデが貴族院にいる間だけは少しまともな生活ができそうですが、ゲオルギーネが何を考えているのかわからず、気は抜けません。
彼は自分とローゼマインをこれ以上王族に利用させまいと、愛弟子が地下書庫へ行くことを禁じるのですが…
録音の魔術具は、シュミルのぬいぐるみにくるまれることになりました。
グリュンにならなくて良かったと胸を撫で下ろす側近達。
レッサー君はかわいいのですが、ユルゲンシュミットでは絶対に絶対に受け入れられることはないでしょうから。
さて、呼び出しに応じて行ってみれば、第一王子ジギスヴァルトが来ていました。
アナスタージウス王子とヒルデブラント王子ならあまり緊張しないと思っていたのに! 側近達も!
それにしても側近はひたすら魔力を注ぎ続けるツェントの苦労を、神殿から領主候補生になったローゼマインの苦労と重ねて見ていたのですね。
確かに酷使されているんですよ。青色巫女見習いになった最初の年なんてひどかったですよね。
それに比べれば随分今は楽していると思っているローゼマイン。
書籍のこの場面の挿絵を元に、王子達の似顔絵イラストを作ってみました。
ジギスヴァルト王子
アナスタージウス王子
ヒルデブラント王子
似てるかな? まだまだ改良の余地ありですが、とりあえず区別はつくかな。
第一王子は一見柔和な性格に見えますが、いろいろ質問してローゼマインの反応を観察しています。
それに対して「誰が示唆したとかどうでもいいじゃん。何があるのか知る方が大事でしょ? 早く地下書庫へ行こうよ」とのたまうローゼマイン。
王族は中央騎士団長ラオブルートから、エーレンフェストが怪しい、フェルディナンドはローゼマインを使ってグルトリスハイトを手に入れようと企んでいるなど、ないことないこと吹きこまれていて、それを信じこんでいますからね。
なんでこんな大事な情報をエーレンフェストしか知らないのだ、と疑っています。
香月先生はこの物語の中で、巧みな情報操作によって操られる人々をよく描いているのですが、情報源がラオブルートしかいない、という時点ですでに王族終わっている、という気がします。
個人的な恨みでもあるかのように、突然フェルディナンドの個人攻撃をするようになったラオブルートを変だと思わないのかな。
根拠が傍系王族の血を引いているからというだけだよ?
政変で何度も命を狙われたんだから、他人の言うことを丸呑みにすることがいかに危険であるか、ツェント・トラオクヴァールはよく知っているはずなんですけどね。
ついにフェルディナンドが何度も足を運んだであろう地下書庫へ行くことができました。
ローゼマインは保護者達から禁じられているので最初は我慢していますが、彼女の操縦方法をなぜか会得しているアナスタージウスによって、書庫に入る口実を与えられます。
喜び勇んで地下書庫へ突進するエーレンフェストの聖女。フェルディナンドの気遣いが無に…
なおエピローグを読むと、この辺りですでにハンネローレはヒルデブラントがローゼマインに恋心を抱いていることに気づいているんですよね。
そしてそのことが厄介事を招きそうだとも。さすが大領地の領主候補生ですね。
さて、アーレンスバッハとのお茶会が終わって、ヴィルフリートと一触即発になるローゼマイン。
まあ基本は仲が悪くないので本当の喧嘩にはならないのですが。
ここで判明したのはヴィルフリートの危うさ。
彼はディートリンデをいつのまにか身内認定しているようです。
1年時には非常に警戒していたはずなのに、「従兄弟だから」と甘やかすように接してもらっているうちに目が曇ったのでしょうか。
それとも「大領地の姫君なのですからそのくらいのワガママは当然でしょう」と側近に洗脳されたのでしょうか。
何度も会って彼女のお花畑度を見てきているはずなのに、ディートリンデに同情。
たぶんヴィルフリートの身内認定基準って、「おばあ様に似ている」ことなんですよ。
ゲオルギーネの時もそうだったし、ディートリンデと初対面の時もそう。
一方、エーレンフェストから敵地に婿に行った叔父の置かれた環境については、次期領主とは思えぬ軽い判断。
ローゼマインもフェルディナンドも、飛び抜けて優秀でなくては立場が守れないので、側近共々血のにじむような努力をして来た。
でもヴィルフリートから見ると、彼らは元々能力が高いので自分にはまったく追いつけない存在。
助力もできないし、何かあっても自分達でなんとかできるだろうと思っている。
それにローゼマインが倒れて後始末に奔走するのは自分の方だからと、彼女にも同情しない。
彼らに何かあるとエーレンフェストも被害を受ける、という想像がまったくできないのは、側近の教育のせいなのでしょうか。頭が痛い。
ダンケルフェルガーの儀式と貴族院の奉納式と嫁取りディッターで、いろいろ判明しましたね。
- 祝福や加護を得るには祈りと魔力の奉納が必須
- 祝福をしても、自分は祝福を得られない
- 図書館には図書館の礎ともいえる魔術具があり、もう少しで魔力が枯渇するところだった
- ダンケルフェルガーはディッター狂いで、ローゼマインの行動と本のせいで以前よりいっそうディッターが神聖化されている などなど…
さてさて、フェルディナンドとエーレンフェストについての悪意のこもった言葉を、王族はすっかり信じ込んでいる様子です。
かといって、ローゼマインの知識と魔力は利用したい。どこかに閉じ込めて利用できないものか。
えげつない王族。待て次巻。
資料 地下書庫へ行こう!
この巻で、ついに地下書庫へ入ったローゼマイン。
その様子や条件、鍵の管理などについて図解してみました。
「別に詳しく知らなくても…」という方は飛ばして大丈夫です。重箱の隅ですから。
- 図書館1階見取図
まず、図書館の1階はふぁんぶっく3によるとこんな感じになっています。
1階と言っても欧州式なので、実際には2階になります。
「地階」は本当の地下室というより、日本の1階か、あるいは半地下の感じ。
なので図書館の1階から地面に下りるためにはけっこうな階段が必要なんですよね。
第二閉架書庫から司書寮の庭に出る階段でわかりますよね。
だから地下書庫と言っても、実際には日本で言う1階に下りるだけなのかな、と思ったのですが、「地階」ではなく「地下」と言っているので、やっぱり地下なのでしょう。
地階だと外部からの攻撃が可能なのでちょっと心配な気もするし。
でもそうだと階段が結構長くなっちゃんだよなあ…
なお、もし地階にあるのなら、地下書庫は図書館の真下に位置しなくてはなりません。
というのは、もし第二閉架書庫のここ(〇の部分)が地下書庫へ下りる階段室なら、下りた先は司書寮の庭になるから。
そうすると階段はきっと直角に曲がっていて、曲がった先に控えの部屋があるんだろうな、と(図のグレーの部分)考えてみる。
なんて考えたけど「いや、地階じゃなくてやっぱり地下だよ!地面の下だよ!」ということかも?
そして「階段室はそこじゃない!」だったりして。とりあえず階段室から先のことはすべて仮定です。
とりあえず入室に至るまでを図解
地下書庫はグルトリスハイトに至るための情報が保管されている場所であるため、厳重に出入りが制限されています。
そのため、入るための手続きは結構煩雑です。
- 地下書庫の扉を開ける鍵は3本セット
3本の鍵は司書寮の特別な部屋に保管されており、その部屋に入るためには、女神と契約して「知識の番人」にならなくてはなりません(第五部Ⅰ「自分の役目と知識の番人」)。
政変前は上級司書が3人とも女神と契約していたのです。
なお、ソランジュも契約していますが、中級貴族のため部屋には入れないとのこと。
- 3本の鍵にそれぞれが魔力登録
地下書庫へ行くにあたって、オルタンシアは部屋から鍵を出してきて、図書委員に魔力登録してもらいました。
これは知識の番人でなくてもよいそうです。
「地下書庫の鍵」が置かれている司書寮の部屋に入室できる条件が、女神と契約した上級文官。 そこから持ち出された「地下書庫の鍵」の登録は魔力登録だけです。契約は必要ありません。
【2020年 04月10日 活動報告のコメントに対する返事】
だそうですよ。
ということで、魔力登録したのはオルタンシアとハンネローレとローゼマイン。図書委員の仕事ですから。
政変前は、こちらも上級司書がしていたらしいですね。
それが一番自然だし合理的ですよね。
図書館には3人以上の上級司書が常駐しなくてはならないということなんです! わかりましたか王族の方々?
- 第二閉架書庫に入る
地下書庫に行くには、まず第二閉架書庫に入らなくてはなりません。
ここの鍵は執務室に置いてある普通の鍵みたいですね。
- 第二閉架書庫の奥の階段室に入る
奥にある扉を開けると、地下書庫への階段室です。この扉の鍵も普通の鍵。開けるだけならソランジュ先生でもできる。
でも上級貴族以上でないと中には入れません。
- 階段を下りると控の間(仮)
(とりあえず階段が曲がっているかとか地階なのか地下なのかは考えないことにします)
階段を下り切ったところは広くて真っ白な部屋でした。特に扉はないようですね。
一方の壁が金属のような色をしているそうですよ。正面の壁という描写がないので横の壁にしてみました。
(ちょっと見づらいので壁の色は薄めにしてあります)
- 3本の鍵で地下書庫の入口を開ける
3人で並ぶそうなので、まあこんな感じになっているのかな?
公式のイラストは第五部Ⅱの口絵を見てくださいね!!
ところで、この扉、それぞれが180度回転するそうなんですけど…
魔法陣が完成すると、ギギッと音を立てて壁が三つの部分に分かれて回転し始めた。壁に見えていたけれど、こうして三つに分かれて動き出すと、扉に見える。扉がゆっくりと動いて一八〇度回転し、また全ての扉が繋がったかのように見えた瞬間、扉が消えた。
回転ってどんな風にするんでしょうか?180度ということは裏返しになるということで合っていますか?
やっぱり回転ドア風に縦のまま回るんですよね? そうじゃないと ”全ての扉が繋がったかのように見えた” というのが解決しないような。
三枚の扉がそれぞれ回転し裏返しになってくっついて壁のようになって消えた、ということだと仮定してみました。コミカライズないしね。
地下書庫の入室条件
フェルディナンドによると、地下書庫に入れるのは ① シュバルツとヴァイス ② 王族 ③ 礎の魔術に魔力供給登録のある領主候補生 だそうです。
でもそれだけじゃなくて、当たり前といえば当たり前ですが、④ 基準魔力量を上回る者 という条件もあったようです。
ヒルデブラントはここで入室を諦めるのでしょうか、それとも…?
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第五部 女神の化身Ⅲ(3)(通算第24巻)
オーディオブックは2024/11/15配信予定。Audibleでどうぞ。
[24巻] 本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身3」 香月 美夜 (著), 井口 裕香 (ナレーション), Audible Studios (出版社)
表紙はシュミルのぬいぐるみを抱くにっこりローゼマインですね! 彼女にも耳があるように見えるのはもちろん錯覚ですよ。
それからフェルディナンド様、久し振り~
あらすじ
ローゼマインはまだ目覚めない。
側近達はやきもきしながら話し合いをしていたが、ブリュンヒルデやレオノーレの話を聞いて、マティアスは自分達旧ヴェローニカ派の考えと彼らの意識にかなり差があることに驚く。
そしてヴィルフリートの態度に対する解釈も。
さらにマティアスは、ディッターの乱入者たちからトルークの匂いがしたことに気づいていた。
もしかすると、中央騎士団にトルークが使われているのではないか。
それが何を意味するのか、彼らにはまだ推測すらできなかった。
目覚めると側仕えの態度がいつもと違った。自分の行動が彼らにどれほど心配をかけたのか知ってローゼマインは反省する。
しかし彼女はどうしても勝ちたかったのだ。仕方がない。
乱入者についての情報を聞いたが、どうにも解せない。
今回は負け組領地の者達ではなく、中央騎士団だ。王族の警護をする立場の者達が暴走したのだ。
そう考えていると、マティアスから重要な情報が。
中央騎士団にトルーク? それは中央騎士団の上層部にいる者とゲオルギーネが繋がっているということではないか。
不安にさいなまれながらも、判断はジルヴェスターに任せ、領地対抗戦の準備である。
ドレヴァンヒェルとの共同研究を含めて、なんとかまとまり一安心。
しかしフェルディナンドからの手紙では、きちんと報告をしていないことを叱られる。
地下書庫に入ったことは伏せたまま返事を書くローゼマイン。
領地対抗戦で会ったらなんとか褒めてもらいたいよね。
ヒルシュールからは、他領から自分の価値を客観的に認識すべきだと諭される。
ユルゲンシュミットの価値観を理解できないローゼマインは危うい。側近も心配している。
いつもジルヴェスターやヴィルフリートにやらかしで叱られてばかりいるせいもあり、彼女の自己評価は低いのだ。
しかし周囲はちゃんと危機感を持っているようで、周囲で警戒できるようハルトムート、コルネリウス、アンゲリカが送られてきた。
領地対抗戦が始まり、社交が始まった。アーレンスバッハは遠いな、と残念に思うローゼマイン。
それを慰めるジルヴェスター。
しかしそんな思いを抱けるのはわずかな間で、まずダンケルフェルガーがやってきた。
いきなりディッターにおける意識の違いに驚く面々。
第一夫人ジークリンデが大領地の観点からジルヴェスターを厳しく糾弾し、ローゼマインを手放せと迫るが、あくまでハンネローレが第二夫人として嫁ぐことを前提にした発言である。
あまりにも前提や今回のディッターの結果を取り違えている気がして反撃するジルヴェスターとローゼマイン。
しかし話しているうちに互いの認識が大きく相違していることが発覚し、双方からの謝罪で終わった。
どうやらダンケルフェルガーの男性はディッターに走りがちで、それを止めるのが女性らしい。
アナスタージウスとの話し合いでは、ローゼマインが敬意を見せず自分の主張を通す。
これでもうダンケルフェルガーとディッターをしなくていいよね?
そして、やっぱり王族でも中央騎士団の騎士が突然攻撃してきたことは衝撃だったらしい。
そこでつらつらとトルークのことを伝えるローゼマイン。
養父様は「王族に対して畏れ多い」とか「胃が痛い」とか言うけど、最初にきちんとこちらの言い分を通しておかないと後で困るのはエーレンフェストなんだから!
表彰式では自分を含め、エーレンフェストの学生が何人も表彰される素晴らしい成果となった。
ディッターでも3位に! 随分連携が取れてきているみたい。
ディートリンデに振り回されていたフェルディナンドもちゃんと拍手してくれていた。感激だ。
「大変結構」ももらったし、やったね私!
しかしまだまだ安心はできなかった。
ディートリンデがローゼマインを真似て奉納舞でやらかしたことが魔法陣を浮かび上がらせる結果となり、中途半端に知識のある中央神殿が彼女を「ツェント候補」と祭り上げたのだ。
そして確固とした自分の考えというものがないヴィルフリートは、オズヴァルトの示唆によって簡単にローゼマインへの反抗心を募らせるようになる…
書き下ろしSSなど
()内は大まかな内容。
特典SSとは、TOブックスオンラインストアや本好き応援書店で紙書籍を購入すると付いてくる書き下ろし短編です。
「Web版」と書かれていないものは書籍化にあたっての書き下ろしです。
- プロローグ:マティアス視点
(私はまだローゼマイン様の側近の役割を理解できていない) - エピローグ:マルティナ視点
(主が問題を起こさないことが一番です) - 短編1:「領地対抗戦での決意」
リュールラディ視点(わたくし書きますわ。切ない恋物語を)本好きの下剋上SS置き場第24話 - 短編2:「娘の意見と覚悟」
ジークリンデ視点(報告されていたこととあまりにも違うではありませんか) - 短編3:「不信感とゲヴィンネン」
ヴィルフリート視点(ローゼマインは私に対する献身が足りないのだ) - 特典SS: 「それぞれの思惑」
アナスタージウス視点(なぜ皆、フェルディナンドが陰謀を企んでいると考えるのだ?)(短編集Ⅱ収録)
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感想(ネタバレあり)
いやはやもうもう、ここまで捻じ曲げられるんだ!って感心するくらいの情報操作ですね!貴族ってすごい!
バルトルト視点の第五部Ⅰ特典SS「胸に秘めた怒り」(短編集Ⅱ収録)の時も思ったんだけど、すでにある程度下地ができているところに刷り込まれると、都合よく脚色された見解をスポンジのように吸収して偏見を強化しちゃうんですよね。
そこに少しくらい(というか多少大きくても)の矛盾があってもスルー。
王族はローゼマインのことを「利用価値はありそうだけど不可解な領主候補生」としか見ていないと思う。
でもそこにラオブルートからフェルディナンドへの悪意のこもった疑惑がもっともらしく吹きこまれると…
特にジギスヴァルトはラオブルートによる「フェルディナンド策謀家説」にしっかり乗っかっちゃってるよ。
アナスタージウスはそうでもないみたいなのに。
フェルディナンドのもともと秘密主義で冷酷(に見える)な性格も相まって、とんでもないことになっている。
プロローグはマティアス視点。
マティアス視点は結構多いです。ゲオルギーネの忠臣、元ギーベ・ゲルラッハであるグラオザムの息子ですからね。
両親も兄達も粛清にあった彼はそれを招いた張本人でもあるため、大きな十字架(はユルゲンシュミットにはないんですけど)を背負って生きることとなった。
元々の性格もあるけど、そのためついなんでも深刻に捉えがち。
そんな彼がトルークに気付いて報告すべきか考えているときに、彼は自分とほかの側近達との心構えが違うことを認識します。
みんなローゼマインを危険な目に遭わせまいとしているんですね!
それはそうでしょう。体力<<<<<<<<<行動力という主ですから。何度も命を狙われていますし。
もう二度と、守り切れなかったことを後悔したくないですよね。
ここでさらに露わになったのが、いかにローゼマインの側近がヴィルフリートとその側近達を嫌っているか。
実はシャルロッテとその側近達も同様なのです。→ふぁんぶっく2 はみ出たQ&Aコピーシテペッタン
このことが今後どう影響してくるのか心配。
領地対抗戦の話は読み応えがありましたね!
ディッターも研究発表も良い結果に終わりました。
フェルディナンドとの再会もじーんと来ましたね。
でもその前に! 来ましたよ、ダンケルフェルガー。
どうやらレスティラウトはかなり自分に都合の良い話にして報告していたみたいですね。
お互いに思いあっていれば「嫁取り」なので正当化される。
無理やり奪いに行く場合は「嫁盗り」であって褒められるものではない。通常は許可されない。
第一夫人はてっきり「嫁取り」だと思っていたと…
何それ⁈ ダンケルフェルガーだけだよ、嫁をもらうのにディッターするの!
第一夫人が慣習通り他領から来ていればこれほど認識の相違はなかったろうに。
誰もダンケルフェルガーのディッター好きが特殊だと言ってくれなかった。
「ジークリンデ様、他領ではディッターに契約書などございませんわ」とか、
「アウブ、他領では求愛にディッターが持ち込まれることは有り得ません。ディッターの結果は神聖と言われても困惑するだけですわ」とか言ってくれる人がいない!
これからも色々ありそう。
アーレンスバッハとの社交。
ディートリンデはお花畑なだけじゃなく横暴で、上位領地の第一夫人の前でもワガママ姫っぷりを平気で発揮するツワモノだった!
頭の中が「こんなに高貴で美しい次期アウブのわたくし」「わたくしが望んでいるのですもの、わたくしに全てを譲るのが当然でしょう?」という謎理論で武装されているから手ごわい。
ディートリンデ、どうやって宮廷作法に合格したんだろう。
挨拶はともかくディスカッションですぐ落ちそうな気がするんだけど…
王族との社交。
アナスタージウスとの話し合いでは、王族に対して反論せずすべて呑み込もうとするジルヴェスターと、ストッパーがいなくなって怖いものなしのローゼマインが正反対の反応を見せる。
王子に向かって「奉納舞の練習をした方がいいですよ~」とのたまった人ですからね。ジルヴェスターは知らないでしょうけど。
お陰で変人という印象は強化されただろうけど、言いたいことは伝わった。養父様がソフトランディングさせてくれた。良かった。
タルクロッシュの話では、マティアスが冷静な判断をして口を挟んだのが印象的でした。
マティアスはやっぱり「文寄りの騎士」だよね。まあまだレオノーレには及ばないんだけど。
フレーベルタークとの社交、なんかいいですね。ジルヴェスターが弟っぽい。
それにしても領主一族ならば、妊娠は計画的にするのが当然なんですね。
通常はこのように領地の利益優先で結婚や出産を考えるのが領主一族なんでしょうねえ…
「でも義弟がいなくなって辛かったんだもん」って感じですか?そうですか?
ダンケルフェルガーの実演も、表彰式も、フェルディナンドとの夕食も良かったんだけど、その後のディートリンデにすべて持って行かれました。
笑っている場合じゃないよ。不穏でしかない。
そしてオズヴァルトだけでも教育が偏るのに、彼のもっと過激な後継者が側近に入ってくるヴィルフリート…
第五部をアニメで観たい!けど…
2023年12月、第三部アニメ化決定が発表されました!
第五部のアニメ、ずごーく観たいですが、実現することがあっても遠い先のことでしょうね。コミカライズさえまだですから。
とにかく、決まったらXや特設ページで発表されると思います。そのころは私、老後かも。
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