この記事では、本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~の第四部のⅠ~Ⅴについて、巻ごとに紹介しています。
また、口絵を利用した登場人物紹介、年間行事を軸にした第四部前半の時系列表を作りましたので、そちらも参考にしながら読んでくださいね。
2024/3/11追加:勝木光先生のコミカライズ版8巻のカバーイラストが公開されました!
発売日は5/15!
香月美夜先生の書き下ろしおまけSSはエグランティーヌ視点「率直なお言葉」。
アナスタージウス王子に真剣に口説かれた時、内心嵐だったとか(それとも意外と冷静だったとか)わかりますね!
TOブックスオンラインストアなら特典として勝木先生の描き下ろしポストカード付きです!
【5/15発売】本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜 第四部 「貴族院の図書館を救いたい!8」(コミックス) - TOブックス オンラインストア
(アフィリエイトリンクじゃないので迷わずGO!)
「本好きの下剋上」は、巨大創作サイト「小説家になろう」で連載、完結済の作品です(リンククリックでWeb版のページへ)。
第四部は全9巻。だいたい第278話~460話にあたります。
第五部ほどではありませんが長いので二つに分けました。
後半はこちら ↓
なお、「本好きの下剋上」の概要については別記事で紹介しています。まず全体を把握されたいかたは、先にそちらをお読みください。
第一部~第三部、第五部1~6の紹介はこちら(コミカライズ版含む) ↓
第一部
第二部
第三部
第五部
- 一部ネタバレあり。
- あらすじは筆者が作成したものです。
- 感想はあくまで筆者の個人的な印象に基づいています。
- 資料は筆者が作成したものです。
- 第四部のあらすじ 貴族院編 領主の養女→次期領主の婚約者
第四部のあらすじ 貴族院編 領主の養女→次期領主の婚約者
第三部最終巻は、ヴィルフリートのやらかしが一番の山かと思ったら、そう甘くはありませんでしたね。
読者全員(たぶん)が悲鳴を上げたローゼマインのユレーヴェ漬けが待っていました!
第四部はフェルディナンド視点のプロローグから始まります。
彼は文字通り身を削ってローゼマインを2年間守ってきたのですが、目覚めた彼女は文句ばかり言っています。
ユレーヴェの影響からの回復もおぼつかないまま、貴族院へ放り込まれるローゼマイン。
領地内の交流さえままならなかったローゼマインですが、まず領主候補生として学生側近を選ばなくてはなりません。
そして貴族院は他領との交流を持つための大切な場所でもあります。
王族や上位領地と交流する可能性もあり、不敬な態度を取ればエーレンフェストにとんでもない悪影響があるかもしれません。
勉学はともかく、領主候補生としての自覚とふるまいなど、大切なことをすべて置き去りにしたまま麗乃時代の学生気分で貴族院へ行った彼女が、何もしでかさないわけはありません。
うわべは取り繕えているけれど、ローゼマインの頭の中は図書館のことだけ。
フェルディナンドの厳しい目から逃れて浮かれた彼女の中身異世界人な行動が、エーレンフェストに、そして周囲の人々にどんなことをもたらすのでしょうか。
災厄かそれとも幸運か。それとも…?
第三部で「城と神殿との違い」「貴族から見た平民」を学ぶことになった読者が、今度はユルゲンシュミット全体を知ることになります。
「王族や他領地から見たエーレンフェスト」はどんな姿なのでしょうか…
※第四部から、この異世界「ユルゲンシュミット」の地図がつきました!
東西南北ではありませんが、神々の影響で地図の上部は寒く、下部は暑いそうです。
神様が協力して何もないところに創られた国なのでキレイな円形。
でも貴族院はこの陸地の一部ではなくて、転移陣でしか行くことができない場所にあるそうですよ。
第四部 貴族院の自称図書委員Ⅰ(1)(通算第13巻)
表紙・挿絵・口絵は椎名 優さん。イラスト担当の方が変わらなくてありがたいです。
表紙は貴族院の服とマントを身につけシュタープを持つローゼマインと、図書館シュミル。
場所はもちろん図書館。念願の図書館に入ることができて、ローゼマインはるんるんですね!
オーディオブックもあります。Audibleの会員登録 をすれば聴き放題!
※Audibleについてはこちらで紹介しています。
この巻から、登場人物がどんどん増えます。
側近に、教師に、他領の学生に、王族に…
冒頭の「登場人物」ページには名前しか出てこないので、口絵や挿絵で登場人物の解説をつけてみますね。
この巻では、主に図書館に浮かれたローゼマインが貴族院でやらかすことを描きます。
本人が「図書館に埋没して過ごす」とか言っているのがなんとも皮肉。
あらすじ
ユレーヴェから覚めて浦島太郎なローゼマイン。
2年間も眠っていたので筋肉が衰え、自分の力では全く動くことができない。
そしてなんと2年間眠っていたのに、身体は全く成長していなかった。
フェルディナンドに魔術具を貸してもらいなんとか動けるようになったが、神殿の側仕えたちの成長に置いていかれたことで心が重くなる。
城へ行けば、シャルロッテに背丈を抜かれていた。わかってはいたけどショック!
こんな気持ちで貴族院へ行かなくてはならないのか。とても頑張れそうにない。
それでもうまく乗せられて猛勉強するローゼマインだが、いざ貴族院へ行ってみると、自分だけ成長が遅れていることが一目瞭然。
しかし寮内で領主候補生の彼女を表立って馬鹿にする者はおらず、側近も決まった。
領主に命じられたことを果たすべく、「成績向上委員会」を立ち上げる。
派閥の壁を取り去ると宣言した彼女に驚く学生達。
親睦会ではなぜか王子に目を付けられる。いったい何故?
しかし元々麗乃感覚で、王族への畏敬の念がほぼないローゼマインは気にしない。
むしろ、聖女の噂の元凶であるハルトムートにちょっと怯えるが、
相変わらず本のことしか考えていないし、図書館のことを考えることで精神の安定を得ようとするローゼマイン。
そんな彼女のこだわりを利用して1年生の座学の成績を上げようとしたヴィルフリートだったが、彼の言葉を自分流に解釈した義妹の本への情熱に燃料を投下することになってしまった。
超優秀な領主候補生に勉強に追い立てられる1年生たちはどうなるのか?
書き下ろしSSなど
()内は大まかな内容。
特典SSとは、TOブックスオンラインストアや本好き応援書店で紙書籍を購入すると付いてくる書き下ろし短編です。
「Web版」と書かれていないものは書籍化にあたっての書き下ろしです。
- プロローグ:フェルディナンド視点
(やっと目覚めたか)Web版第278話後半を三人称で改稿 - エピローグ:ジルヴェスター視点
(何だこの報告書は。頭が痛い)Web版第316話前半を三人称で改稿 - 短編1:「有意義な土の日」
リーゼレータ視点(シュミルの衣装が楽しみです) - 短編2:「マインの目覚め」
エーファ視点(本当なの?本当にマインが目覚めたの?)SS置き場第3話改稿 - 特典SS:「特別措置の申請」
ヒルシュール視点(少しは御自分のことも知らせてくださいませ)(短編集Ⅰ収録)
目次へ
感想(ネタバレあり)
この巻はユレーヴェから目覚めて困惑しながらもシャルロッテのために猛勉強するローゼマインと、貴族院に入って側近を選んだまではいいが、ヴィルフリートの迂闊な発言で新一年生に恐ろしい試練を課す非常識な領主候補生の姿が描かれます(ってヒドイ)。
すごく楽しい1冊でもあります。貴族院ってどんなところ? 何を学ぶの? という感じで。
ローゼマインはまだこの異世界のことを一部分しか知りません。
その上2年間の空白と成長の遅れから生じる不安を抑え込むために、図書館への情熱だけを頼みに貴族院へやってきました。
ですから彼女の視点から描かれる貴族院の様子はとても偏っています。
読者にはユルゲンシュミットという国の姿がまだまだよく見えないのです。
ローゼマインは新1年生と側近をぞろぞろ連れて図書館登録へ行き祝福をぶち上げて、休眠中だったシュミルの魔術具に魔力を注いでしまいます。
かわいいシュミル型ですが、簡単な話ができるし、歩けるし、本の整理ができて記憶もできる優れもの。
なんと昔の王族が作った物だそうです。
ローゼマインは図書館の仕事をしてくれる便利な魔術具としか思っていませんが、エーレンフェストという力のない中領地の、しかも神殿育ちの変人領主候補生が主になるのって、絶対問題になりそうですよね!
このあたりの感覚の違いが、この先もいろいろな問題を引き起こしそう。待て次巻!
すごーく偉そうなアナスタージウス王子(偉いから仕方ない)に目を付けられるローゼマイン。
自分の受け答えが王子を煽ることになったとはまったく考えていません。
力のない領地の領主候補生であることや、領主候補生という立場が意味することを理解せずに、これからもいろいろやらかして大人たちを悩ますのです。
2年も眠らせるってどういう意図が? ちっちゃいままで貴族院へ行かせるって鬼か?
とか最初はいろいろ思いながら読みましたが、これは主人公がユルゲンシュミットの「常識」とされるものを身につけずに貴族院へ行くためには、外せない条件だったわけなのです。
また、ローゼマインには側近がつきました。自分で選んだのは物語集め優先でフィリーネだけ。その他必要な側近達は保護者達からの推薦です。
親たちの思惑が絡むので側近選びはとても難しいのです。
神殿では側仕えを上手に育てたローゼマインですが、貴族の側近達とうまくやっていけるのでしょうか。
あざやかに一発合格を重ね、音楽の先生にお茶会に招かれ、図書館のシュミルの主となり、シュタープ取得で行倒れとなり、乗り込み型騎獣の流行を作る自分達の主。
予想をはるかに超える主の優秀さと虚弱さと暴走は、側近達をも鍛えることになるのですが…
資料 口絵より登場人物紹介
夫が挿絵や口絵を見ても誰が誰だかわからないと言っていたので作ってみました。
書籍第四部Ⅰの口絵、誰が誰なのかわかりますか? わからない人向け。
側近の顔と名前はコミックスの方が覚えやすいかも。
コミカライズ版
コミカライズは第四部1から、5の途中までがこの巻に当たります。作画は勝木 光先生。
第四部1巻
浦島太郎なわたし~貴族院への出発まで。1話目が60ページくらいあって、香月先生は最初の原稿を頂いた時驚いたそうです。
・勝木先生の描き下ろし番外編は「「知っている」こと」。
・香月先生の書き下ろし短編はフーゴ視点「空回りの警戒心」。貴族院の厨房へ行くフーゴとエラ、タイトルで内容わかるよね😉
第四部2巻
貴族院生活の始まり~算術・神学・魔力の扱いまで。
・勝木先生の描き下ろし番外編は「コルネリウスの決意」。
・香月先生の書き下ろし短編はフェルディナンド視点「見送りの後」。★この短編、結構重要だと思います★ 冷たいのか優しいのかわからない神官長。この頃はまだ領地の利益最優先だよね…
第四部3巻
歴史・地理・音楽~図書館登録まで。
・勝木先生の描き下ろし番外編は「ご褒美のデザート」。
・香月先生の書き下ろし短編はレオノーレ視点「主には見せない裏側」。図書館登録を当然のように一年生全員にさせようとする主に対する不満を抑えるために奔走する側近たち。有能です。
第四部4巻
シュバルツとヴァイス・宮廷作法~奉納舞まで。
・勝木先生の描き下ろし番外編は「秘密の相談」。これは書籍の「有意義な土の日」の漫画化です。嬉しい。
・香月先生の書き下ろし短編はハルトムート視点「ローゼマイン様の側近として」。いかにローゼマイン様が特別なのか語るハルトムートがかなりウザい。なお、この中でトラウゴットが2年生となっていますが、彼は3年生のはずなのでこれは間違いだと思います。
第四部5巻
奉納舞・音楽の実技合格~図書館へ行こうまで。
・勝木先生の描き下ろし番外編は「楽しみな朝」。
・香月先生の書き下ろし短編はヴィルフリート視点「ローゼマインの講義終了」。前巻のトラウゴットのセリフとヴィルフリートの側近のセリフが見事に呼応しています。ヴィルフリートが心配。
目次へ
第四部 貴族院の自称図書委員Ⅱ(2)(通算第14巻)
みんな大好きディッター巻。読んでも聴いても面白いので、この巻からファンになっても全く不思議ではありません。
コミックスもこの巻の良さを生かしてくださって素晴らしいんですよ!
オーディオブックもあります。Audibleでどうぞ。
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員2」香月 美夜 (著), 井口 裕香 (ナレーション), Audible Studios (出版社)
この巻では、ローゼマインと周囲の、ユルゲンシュミット貴族としての様々な認識のズレが発覚し、周囲がそれを修正するべく立ち回るのが見られます。
ローゼマインの異質さが良い方に働くと、大領地の威嚇にも負けずに堂々と反論する誇らしい主に、
悪い方に働くと、身分的な弱者であるソランジュ先生を困惑させる強引な主になってしまうようです。
側近のみんな、お疲れ様です…
あらすじ
ローゼマインが全ての講義に合格したことで、寮内では情報の公開範囲などの統一を図る、とても重要な打ち合わせが行われる。
ハルトムートが「エーレンフェストの聖女」という噂を広げているため、他領からの質問が多くなっているという。
とにかく、ここ数年、魔力圧縮やカルタなどで若年層の能力を伸ばしてきた成果は確実に表れてきているらしい。
そんな中、こっそりフェルディナンド伝説の収集を依頼するローゼマイン。
それと共に、ディッターの戦い方でも情報収集が必要であることを説いて、騎士見習い達に反発されるが同時に驚かれる。
ここは麗乃時代の「知識の蓄積こそ力」という認識が生きている。
ローゼマインの話は少なくとも彼女の側近の一部には納得され、文官見習いにも良い影響を与えた様子。
ヴィルフリートにも助言を乞われる。
話がまとまったところで、旧ヴェローニカ派でヴィルフリートの汚点の原因となった、ローデリヒという1年生から質問が。
どうやら旧ヴェローニカ派の子供達と領主一族では、大領地アーレンスバッハに対する認識が大きく異なるようだ。
側近をぞろぞろ従えて初めて読書のために図書館へ向かうローゼマイン。
司書の仕事がしたくて「図書委員」をソランジュにゴリ押ししてしまう。
図書館と貴族院という、自分でも理解できる(と思った)学校制度の中にあると、どうしても麗乃時代の感覚で物事を判断してしまうのだ。
ソランジュにとっては助力になるという認識だった「図書委員」が、ユルゲンシュミットの厳格な身分制度の中ではありえない要求だった。
リヒャルダに叱られるローゼマイン。
それからは認識のズレを側近達が遠慮なく指摘してくれるようになり、ローゼマインは態度を改める。
ソランジュとのお茶会が成功しホッとした後は音楽の先生とのお茶会。
そこには大領地クラッセンブルクの領主候補生、エグランティーヌと、アナスタージウス王子がいた。
ローゼマインはエグランティーヌと仲良くし過ぎて王子の機嫌を損ねてしまい困惑するが、どうやら裏には次期ツェントを巡る争いも絡んでいるらしい。
待ちに待ったシュバルツとヴァイスの採寸の日となった。
採寸は無事終わったものの、なんと大領地でディッター強者、ダンケルフェルガーの領主候補生らが待ち伏せていた。
ローゼマインが不当に図書館シュミルの主になったと非難し、主の座を譲れと威嚇する。
自分が主になったことは不当な行為でないことを主張し、ふさわしい者ならば譲るが、レスティラウトはふさわしいとは思えないと断るローゼマイン。
回廊で戦いが始まったところにアナスタージウス王子が到着。
エーレンフェストVSダンケルフェルガーでディッターが行われることになった。
書き下ろしSSなど
()内は大まかな内容。
特典SSとは、TOブックスオンラインストアや本好き応援書店で紙書籍を購入すると付いてくる書き下ろし短編です。
「Web版」と書かれていないものは書籍化にあたっての書き下ろしです。
- プロローグ:ソランジュ視点
(ローゼマイン様が講義を終えるのが楽しみです) - エピローグ:ベンノ視点
(ルッツにはまだあいつを支えてもらわないと) - 短編1:「直接の求愛」
アナスタージウス視点(私が望むのはエグランティーヌだけだ) - 短編2:「主が不在の間に」
レオノーレ視点(騎士達には実力を正しく認識させる必要がありそうですわ) - 特典SS: 「私の心を救うもの」
ローデリヒ視点(ローゼマイン様の側になら居場所があるのか)(短編集Ⅰ収録)
目次へ
感想(ネタバレあり)
ローゼマインの戦いにおける司令官・軍師としての才能が判明して、側近たち仰天の巻です。
この巻から王族やダンケルフェルガーとの切っても切れない縁ができてしまうという…
まあそれはおいおい。
1巻同様、分厚い! そしてイベントの数が多い! コミックスがなかなか進まないのも道理です。
長期週刊連載の経験がある勝木先生は、締め切りまでにきっちり仕上げてくださる方のようですが、
それでも先の長さに気が遠くなります。ライフワークになるのでは?と思ってしまう。
とりあえず1年生のうちは初めてのことばかりで、どうしても説明的場面にページを取られてしまいますもんね。
寮内での意思統一を図る話し合い、ヴィルフリートがなかなかいいですね。
次期領主としての風格があるじゃありませんか。
でもローゼマインへの襲撃と、自分が嵌められたことから、旧ヴェローニカ派には当たりがキツい。
そんな中、アーレンスバッハを警戒する理由と、貴族院では旧ヴェローニカ派を区別しないと話すローゼマイン。
ここはカッコよかった。
それにしてもヴィルフリート、自分の側近のほとんどが旧ヴェローニカ派だって認識なさそうだよね…
叱られて本来の図書委員活動は諦めたけれど、ソランジュ先生とのお茶会は成功。
安心して音楽の先生とのお茶会に臨みますが、なんとそこに不機嫌な表情の王子が!
なんでいるの⁈ 招待してないのに!
その上即興で作曲をしろと無理難題を吹っ掛ける意地の悪さ。
結局ローゼマインが才能を(チートだけど)見せつけて却ってエグランティーヌの賞賛を得ることに。
まあわかりやすい王子ですよ。
でもでも、実は王子達、次期王座を巡ってエグランティーヌ様を得ようと争っているとのこと。
うーんややこしいことに関わっちゃったんじゃないですか?
シュバルツとヴァイスの主になったことは、王族の魔術具の主になるということ。
非常に名誉なことであり、本来は弱小領地の領主候補生がなれるはずがないのだからズルをしたに違いない!
大領地ダンケルフェルガーにさっさと譲れ! と言ってくるレスティラウト。
それをディッターで返り討ちにする、新入生で虚弱なちっちゃい領主候補生ローゼマイン。しびれますね!
このディッターの場面、オーディオブックで聴くと最高! 井口さん、すごい。
それにコミックスも素晴らしかったです。さすがテニス漫画「ベイビーステップ」を長期連載していた漫画家さんですね。
迫力満点でした。
さて、ここで発覚したトラウゴットの厄介さ。どうやら側近の中では大分前から把握されていた模様。
推薦したリヒャルダ自ら、孫の解任を申し出てくるのですが…
資料 口絵より登場人物紹介
第四部Ⅰに続きこの巻も人物紹介を作ってみました。新キャラが多いです。図書館シュミルも入れました!
コミカライズ版
コミカライズは第四部5の途中からまだ7巻までで、やっとディッターが終わったところ。書籍Ⅱの終わりまでだと10巻くらいになるかもしれませんね。
※8巻は5/15発売です。詳細はこちら→ 【5/15発売】本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜 第四部 「貴族院の図書館を救いたい!8」(コミックス) - TOブックス オンラインストア
第四部5巻
奉納舞・音楽の実技合格~図書館へ行こうまで。
・勝木先生の描き下ろし番外編は「楽しみな朝」。
・香月先生の書き下ろし短編はヴィルフリート視点「ローゼマインの講義終了」。前巻のトラウゴットのセリフとヴィルフリートの側近のセリフが見事に呼応しています。ヴィルフリートが心配。
第四部6巻
図書委員になりたい~シュバルツとヴァイスの争奪戦まで。
・勝木先生の描き下ろし番外編は「リーゼレータの決意」。
・香月先生の書き下ろし短編はロジーナ視点「音楽の先生方のお茶会」。ローゼマイン様が誇らしいですわ。
第四部7巻
ディッター巻。ルーフェンの提案~ダンケルフェルガーの食堂にてまで。
・勝木先生の描き下ろし番外編は「ルーフェンの指導」。エピソードの最後とこの番外編は、短編集「貴族院外伝 一年生」のルーフェン視点の短編を漫画化したものです。すごく楽しくなっています!
・香月先生の書き下ろし短編はヴィルフリート視点「寮での留守番」。ますますヴィルフリートが心配になる…
短編集「貴族院外伝 一年生」はこちらです。
目次へ
第四部 貴族院の自称図書委員Ⅲ(3)(通算第15巻)
すごく悲しい表情のローゼマイン。
そう、契約魔術が解消され、さらに隠し部屋が使えなくなってしまう時がやってくるのです。
オーディオブックもあります。Audibleでどうぞ。
[15巻] 本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員3」香月 美夜 (著), 井口 裕香 (ナレーション), Audible Studios (出版社)
もう自分をさらけ出して甘えられる相手がいなくなってしまうローゼマイン。
彼女がまた「マイン」になれる日は来るのでしょうか。
あらすじ
ギル視点のプロローグから始まる。
2年間も眠っていて筋肉がすっかり衰えてしまっている主には休養とリハビリが必要なのに、知識を詰め込まれて無理やり貴族院に放り込まれた。
そのことに憤るギル。
もっとローゼマイン様を大切にしてほしいと訴える彼と、「神官長がなさったこと」と意に介さないザーム。
険悪な雰囲気になる彼らに、フリッツが別視点を提供してとりなす。
貴族社会でうまく生きていくためには、できるだけ弱みを作らないこと。
神官長もそれがわかっているから、ローゼマインに無理をさせるのだと。
渋々納得しつつも、神官長が工房にこもりきりでローゼマインが呼びに来るまで出てこないことに不満をもらすギル。
でもそれはローゼマインの思いやりなのだ、とザームに説明されて、今度こそ納得する。
今はローゼマインを救うために二年間ずっと一人で耐えてきたフェルディナンドが束の間の休息を取っているだけなのだ。
ホントにね。
さて城へ戻り、エルヴィーラに社交の意味を叩き込まれるローゼマイン。
感情で他者を判断してはならない。中級貴族・下級貴族は特に。
忠誠心が本物かどうかを、情報を集めて客観的に判断することが必要。
フェルディナンド伝説を使ってローデリヒを側近にすることに同意してもらおうというローゼマインの下心など、とうに見抜かれていた。
さらに、契約魔術の解消の必要性を説かれる。
わかっている。わかっているけれど、感情が追い付かない。
本来は、2年間眠るはずじゃなかった。
この2年間で心の準備をするはずだった。
その時間をユレーヴェに浸かって失くしてしまったことが悔しい。
結局、契約魔術は解消されることに。
「良かった」と喜ぶ周囲の声に反発を覚えながら、これ以上下町の仲間が蔑ろにされないよう言質を取るローゼマイン。
契約魔術がなくなってもみんなを守る方法があるはず。
絶対に印刷を、本づくりを、価値のわからない貴族に潰させたりしないんだから!
城や神殿で穏やかに過ごしていたローゼマインだったが、ヴィルフリートからの訴えで貴族院に呼び戻される。
ユストクスも一緒に。
彼はローゼマインとトラウゴットのお目付け役だった。
ローゼマインについては常識外のことをしないか監督するため、
トラウゴットについては、辞職に追い込まれた原因を自覚していないようなので鍛え直すためだ。
お茶会についてきた彼に、ローゼマインの社交は非常に危険だと言われる。
しかし彼女にはどこがどうおかしいのかわからない。
悩んでいる中、先延ばしにしていた全領地とのお茶会を催し、またしても倒れてしまう。
リヒャルダに呼ばれてやってきたフェルディナンドに、領地対抗戦出席禁止を申し渡されるローゼマイン。
失意に沈むも、寮にいれば読書し放題と言われ簡単に機嫌を直す。
このまま無事に卒業式まで終われば良かったのだが…
書き下ろしSSなど
()内は大まかな内容。
特典SSとは、TOブックスオンラインストアや本好き応援書店で紙書籍を購入すると付いてくる書き下ろし短編です。
「Web版」と書かれていないものは書籍化にあたっての書き下ろしです。
- プロローグ:ギル視点
(もっとローゼマイン様を大事にしてほしい) - エピローグ:ユストクス視点
(ローゼマイン様にとってフェルディナンド様とは?)Web版第341話後半の視点変更 - 短編1:「時の流れと新しい約束」
ルッツ視点(俺には弱音を吐ける場所がある) - 短編2:「卒業式と祝福の光」
エグランティーヌ視点(もうユルゲンシュミットに争いは必要ないのです) - 特典SS: 「わたくしの騎士様」
フィリーネ視点(ダームエルは素敵でしょう?)(短編集Ⅰ収録)
目次へ
感想(ネタバレあり)
ローゼマインを大切に思うギルは、フェルディナンドやザーム達の対応が気に入りません。
でも貴族の視点では、無理をしても予定通りに貴族院に行った方がよかったのです。
ギルは可愛いけど、将来を考えるとフェルディナンドが正しい。
ローゼマインも起きた当初はかなりごねたけど、頭では多分そのことをわかってた。
2年間フェルディナンドが自分を他者から守ってくれたことも知ってる。
だから工房から出てこなくても甘やかしてる。オカンなの?
すでにこのあたりで互いに保護者みたいな関係になってるな…
ローデリヒの側近入りを認めさせたくて色々策を練るけど、まだまだ今のエーレンフェストでは難しい。
どうしても感情で側近を選びたいローゼマイン。だってコネで選ばれたトラウゴットがあんなだったからねー
もう顔も知らない人間を側近にするのは嫌でしょう。
そしてついにやってきた契約魔術解消。
領主の養女になった時点で、いつかこの日が来ることはわかっていたけど、つながりが切れるのはつらい。
読者だってわかっていたけど、心の準備をする期間が与えられなかったのは同じ。
大事なものを次々と諦めさせられるのは本当に残酷で、第四部は「喪失」の部でもあるんだなーと思います。
それが最終巻にもつながっていくんだけど、それはネタバレになるので自粛。
ヴィルフリートの悲鳴のような要請で、貴族院に呼び戻されるローゼマイン。
義兄に切々と留守中の苦労を訴えられるけど、これ本当はそんな感じじゃなかったことが、前巻のレオノーレ視点の短編でわかりました。
ヴィルフリート、大丈夫なんだろうか。側近に操られているようにしか見えないんだけど…
さて、ローゼマインが麗乃感覚で「学校祭のようなもの」と思っていた領地対抗戦は、領主会議の前哨戦だったことがわかります。
確かに学校祭のような部分もありますが、研究発表は教師も行いますし、自分の作品を売るためのデモンストレーションの場でもある。
そして領主候補生たちは、他領のアウブ達と渡り合わなくてはならないため、社交スキル+交渉スキルが求められます。
うかつな発言を許されないことがわかって、可哀想だけどお留守番命令に読者もちょっとホッとしたかも。
フィリーネとコンラートを助け出すのは、ローゼマインの感覚では当然のことでした。
でも貴族感覚ではとても困難なこと。なぜなら助け出して、そのあとどうするの?ということになるから。
洗礼式を終えていないコンラートは、孤児院に入れるしかない。
そうするとフィリーネとは姉弟ではなくなってしまう。
このあたりはなんちゃって貴族が大勢出てくる異世界ファンタジーと違って、香月先生の世界観では明確に区別しています。
最後は隠し部屋卒業。もうお手紙も書けない。
神官長は本当にギリギリまで譲歩して甘やかしてくれたけど、これ以上は許されない。
素の自分に戻って甘える相手がいなくなったローゼマイン。
大きなものを失ったつらい巻でした😢。泣けるので、あまりオーディオブックでは聴いていません。
※なお、ユストクスが貴族院でどのようにトラウゴットに接していたのかは、短編集「貴族院外伝 一年生」で確認してくださいね!
コミカライズ版 なし
まだコミカライズ版はここまで追い付いていません。
貴族院1年生編は、解説部分もあるし飛ばせないエピソードが多いから2024年中は無理だろうなあ…
エーレンフェストに戻ると少し早く進むのではないかな~
目次へ
第四部 貴族院の自称図書委員Ⅳ(4)(通算第16巻)
この巻の表紙は、エントヴィッケルンです。
前巻の内容が暗かったので、明るい表紙にホッとしますね。
オーディオブックもあります。Audibleでどうぞ。
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員4」 香月 美夜 (著), 井口 裕香 (ナレーション), Audible Studios (出版社)
口絵は「ハルデンツェルの奇跡」。
この巻から、ユルゲンシュミットで軽視され、あるいは忘れられてしまった神事の大切さが、少しずつ明らかになってきます。
あらすじ
ヴィルフリートは父ジルヴェスターから、ローゼマインとの婚約を打診される。
側近を排したのは息子自身に決めて欲しかったかららしいが、ヴィルフリートには決められなかった。
婚約とはどういうことなのだろう? 婚約するとどのように変わるのだろう?
側近達に話したところ、彼等はこれで次期アウブの座が固まったと喜ぶ。
側近達が喜んでくれたことが嬉しくて、ヴィルフリートは婚約を受け入れることを決めた。
いっぽうのローゼマイン。
図書館に向かって暴走する主のお陰で、側近達が何人も優秀者となった。
王族の遺物や乗り込み型の騎獣の研究が注目を集めた。
リンシャン、髪飾り、カトルカールが流行を作りつつある。
すべて彼女の力だが、本人はその重大さに気付いていないところで、婚約発表が行われ、貴族達は疑心暗鬼と驚愕でざわめく。
その真の理由をローゼマインはまだ理解していない…
ルッツと約束したように印刷業を推進するため、文官と顔合わせをしたり、灰色神官の派遣の手配をしたりと忙しくするローゼマイン。
シュバルツとヴァイスの衣装も用意しなくてはならない。
しかし驚愕の事実が! なんと、主は布に複雑な魔法陣の刺繍をしなくてはならないという。しかも一つではない。
いや、無理無理無理! 無理だから!
…ということで代わりにインクを作ることになったが、途中で染色の技術について漏らしてしまい、怪しまれないためにそちらを広げる手配が必要になった。わたしのバカバカ!
一方、出来上がったインクは乾いたら消えるという謎アイテムとなる。これってとても悪いことに使えそう!
祈念式が始まって、印刷事業のためにグーテンベルクを連れてハルデンツェルへ向かう。ヴィルフリートやシャルロッテ、そしてエルヴィーラ、カルステッドも一緒だ。
そこで行われた行事が聖典と異なることを指摘したことから、神様の御力を感じずにはいられない不思議な出来事が起こるのだが…
書き下ろしSSなど
()内は大まかな内容。
特典SSとは、TOブックスオンラインストアや本好き応援書店で紙書籍を購入すると付いてくる書き下ろし短編です。
「Web版」と書かれていないものは書籍化にあたっての書き下ろしです。
- プロローグ:ヴィルフリート視点
(ローゼマインと婚約するのは良いことなのか?) - エピローグ:アウブ・アーレンスバッハ ギーゼルフリート視点
(エーレンフェストからの情報が欲しいが…) - 短編1:「ハルデンツェルの奇跡」
ギーベ・ハルデンツェル視点(ローゼマイン様に感謝を!) - 短編2:「大改造を防ぐには」
ギュンター視点(美しくなった街は俺が守る!) - 特典SS: 「わたくしの課題」
シャルロッテ視点(お兄様はこのような調子で領主になれるのでしょうか)(短編集Ⅰ収録)
目次へ
感想(ネタバレあり)
前の巻で下町のみんなとのふれあいの場を失ったローゼマイン。
行間から喪失感を読み取ってあげて欲しい。
感情の拠り所を失っているところに領主からヴィルフリートとの婚約を打診され了承。
いろいろ片付けてから神殿へ戻り、さらに報告を聞いたりしたあと次の仕事をしようとして、フランに止められます。
婚約は心の底では嫌だし現実とは感じられないけれど、それを押し隠し気を紛らすために頑張り過ぎている。
そんな様子を悟られてしまったみたいですね。さすが筆頭側仕えです。
シュバルツとヴァイスの衣装には魔法陣の刺繍が必要。
それはわかっていたけど、自分がやるの? いやそれ無理だから。
そんなこんなで消えるインクが完成! ついでにろうけつ染めの技術を早いとこ広めなくちゃ。
ちょっとこのあたりの伏線はあからさまかな? まあ回収も早いので伏線というほどのこともないんですけど。
祈念式で直轄地を廻った後はハルデンツェルへ。
そこでローゼマインは、後に「ハルデンツェルの奇跡」と呼ばれる出来事を引き起こします。
エーレンフェストではすべてローゼマインのやらかしで片付いてしまうんですけど、そうじゃない。
実はこういったことは昔は当たり前だったのに、長い年月の中で神事や神殿が軽んじられるようになったために失われたらしいんですよね~
魔力豊富な領主候補生が神殿に関わるようになったことで、神事のあるべき姿がいろいろ掘り起こされそう。
これからが楽しみですね。
領主会議の私的な報告会で、初めてエーレンフェスト貴族がアーレンスバッハに翻弄される理由を知るローゼマイン。
とても面倒な繋がりがあるらしい。
前世や平民感覚では考えられないことだが、結婚式というおめでたい場でも襲撃を警戒すべきとは。
それにしてもゲオルギーネはかなりの危険人物で、南部にはシンパがまだまだ残っている模様。
ローゼマインには知らされていない情報が多々あり、周囲は警戒しているのですが、それでも十分とは言えなかった?
エピローグ、見事ですね。ゲオルギーネの誘導。
でもここを読んでもお分かりの通り、ゲオルギーネは多分シンパからの情報でフェルディナンドを一番の危険人物とみなしていますよね。
とっても嫌な予感。
コミカライズ版 なし
目次へ
第四部 貴族院の自称図書委員Ⅴ(5)(通算第17巻)
このドレス、最高に可愛いと思いませんか?
母さんが染めた布とトゥーリが作った髪飾り。
会えなくなってもつながっているのが嬉しい。
オーディオブックもあります。Audibleでどうぞ。
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員5」 香月 美夜 (著), 井口 裕香 (ナレーション), Audible Studios (出版社)
この巻では春から始まり冬の貴族院2年生まで行っちゃいます。
だんだん不穏になるのが気になるなあ…
資料 口絵より登場人物紹介
第四部Ⅴの口絵を見ながら確認してくださいね。
不要な方はスキップでお願いします😌。
あらすじ
アーレンスバッハとの婚姻が認められて、旧ヴェローニカ派の館は歓喜に包まれた。
ギーベ・ゲルラッハの息子であるマティアスは、貴族院の雰囲気との大きな相違に違和感を禁じ得ない。
貴族院では、今後のエーレンフェストはローゼマイン様を中心に回っていくという印象が強い。
しかしアーレンスバッハとの関係を重視する自分の家では正反対。
というより、以前と同様に、アーレンスバッハとの結びつきが強まる婚姻に大喜びしている。
ギーベの騎士団の合同訓練が増えることに不安を覚えるマティアス。
星結びの儀式で何かが起こる可能性を、領主一族に示唆すべきか?
貴族院で側近を得たことから、貴族の見習い側近達も神殿に出入りすることになった。
貴族の批判的な視線から神殿の者達を守ろうとするローゼマイン。
孤児院長室の家具の格が領主候補生に合っていないことを指摘されるも無視する。
ローゼマインにとって、家具の入れ替えはお金の無駄遣いとしか思えないのだ。
ランプレヒトの結婚式は何とか無事終わったが、ゲオルギーネを含めアーレンスバッハの領主一族の考えが読めない。
さらに道中を狙った襲撃も計画されていたということがマティアス達の奮闘によって判明していた。
ローゼマインが移動に騎獣を使ったことで被害は免れた。
奮闘してくれた旧ヴェローニカ派の子供達を側近に入れたいと言うローゼマインと、反対するフェルディナンド。
フェルディナンドが正しいのだろうが、納得できない部分もある。
染色コンペが行われ、ローゼマインはエーレンフェストにまた新しい流行をもたらす。
残念ながら母さんの染めた布を見つけることができず落胆するが、ランプレヒトの新妻と親しくなることができた。
そして染色コンペが終わったら収穫祭。グレッシェルへ向かうのだ。
しかしグレッシェルでは問題が山積みだった…
書き下ろしSSなど
()内は大まかな内容。
特典SSとは、TOブックスオンラインストアや本好き応援書店で紙書籍を購入すると付いてくる書き下ろし短編です。
「Web版」と書かれていないものは書籍化にあたっての書き下ろしです。
- プロローグ:ゲルラッハ子爵の末息子マティアス視点
(このまま父上たちに流されていて良いのだろうか) - エピローグ:ヒルデブラント視点
(彼女も姉のように優秀なのでしょうか) - 短編1:「城でのお留守番」
フィリーネ視点(ダームエルはひどいです!)Web版第367話 - 短編2:「分かれ道」
アウレーリア視点(わたくし、自分の進む道を決めました) - 短編3:「専属への道」
エーファ視点(娘の専属になるための努力は惜しまないわ) - 特典SS:「ギーベ・グレッシェルの娘として」
ブリュンヒルデ視点(グレッシェルの印刷業を成功させたいのです)(短編集Ⅱ収録)
この巻の特典SSから、収録先が短編集Ⅱになりました。
目次へ
感想(ネタバレあり)
この巻のポイントは、見習い達が神殿に出入りするようになったこと、ランプレヒトの結婚式、染色コンペ、グレッシェルの貴族達、でしょうか。
ローゼマインにはまだまだ貴族の考え方が理解できませんが、それはフェルディナンドが上手に調整してくれすぎるせいもあるんだな、とこの巻でわかりました。
貴族の側近が神殿に出入りするのは不安ですが必要なこと。
彼らにも慣れてもらわなくてはならないし、自分も彼らが出入りすることで生じる問題に向き合わなくてはならない。
ハルトムートは生粋の上級貴族の観点から不備を指摘するので、ローゼマインにとっては少し鬱陶しい存在。
家具が家格に合っていないらしいけど、入れ替えるのはイヤ。
適当に煙に巻いてスルーしますが、ローゼマインには自分の感情が理解できているのでしょうか。
本当は「もったいないから」じゃないよね?
ローゼマインの感情描写は隠されていますが、孤児院長室は下町の者が出入りするところ。
以前はそこの隠し部屋で「マイン」に戻って、ベンノやルッツに甘えることができた。
家具を入れ替えてしまうと、その思い出がすべて消し去られるような気がするのではないでしょうか。
フェルディナンドもその気持ちを察して、家具の入れ替えをしたくないという彼女の意思を尊重してくれたのではないかと。
実は結構優しい神官長です。
ランプレヒトの結婚式では、やはり道中に襲撃が計画されていました。
マティアス達が知らせたことで、被害は未然に防がれた。
ローゼマイン視点では「未然に防がれた」ことを中心に満足感をもって書かれていますが、本当は「襲撃計画があった」ことを重視すべきでしょう。
まったく危機感が育たないのは、フェルディナンド達に守られ過ぎているからなのでしょうね。
それとも自分が狙われたという実感がないからなのでしょうか。歯痒いですね。
彼女の危機感のなさから、今後も何か大きなことが起こりそうで不安になります。
ランプレヒトの妻アウレーリアは、ヴェールをはずすことがありません。
なんとエーレンフェストに不和をもたらしたガブリエーレにそっくりだそうです。
ローゼマインは理由までは知りませんが、彼女の意思を尊重したことで、図らずも彼女を味方につけることができました。
でも母さんの布は愛をもってしても探し当てることができず、しょんぼりへにょん…
短編3の「専属への道」は、娘の専属を目指すエーファの話で、私のお気に入りです。
同じ工房のライバルにも親方にもおもねることなく、堂々と自分の実力を示す彼女、カッコいいですよね!
内助の功ばかりじゃなく、職業人として正面から向き合い努力するエーファが好きです!
そんな妻を応援するギュンターもね!
グレッシェルの問題はわかりやすいですが、エーレンフェストの未来のために解決すべきとても大事な問題でした。
ぜひ短編集Ⅱで、ブリュンヒルデ視点の短編を読んでみてください。
エルヴィーラに貴族視点から問題点を指摘されてしぶしぶ納得する彼女を見ることができますよ。
第四部Ⅰ~Ⅴはどのあたり?
エーレンフェストの行事・儀式を中心にした時系列、ここまでのまとめです。
第四部Ⅰ~Ⅲは貴族院の話なので濃くて、とても狭い時間軸ですね。Ⅰ~Ⅴでだいたい1年間です。
コミカライズ版 なし
最新話は無料でこちらで読めます。第一部完結済、第二部・第三部・第四部が並行連載中。
月額400円で会員になれば全部読むことができます。結構お得!
第四部をアニメで観たい!けど…
2023年12月、第三部アニメ化決定が発表されました!
第四部がアニメ化されることがあったとしても、ずーっと先のことでしょう。それまで生きていられるのだろうか…
アニメ化もいいけど、第五部をコミカライズしてほしい。
とにかく、決まったらXや特設ページで発表されると思います。
TOブックス Xアカウント https://x.com/TOBOOKS?s=20
本好きの下剋上 特設ページ
「本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜」特設サイト