コージーなロマンス、コージーなミステリ

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にぎやかな眠り(ピーター・シャンディ教授シリーズ 1) シャーロット・マクラウド (登場人物詳細あり)


シャーロット・マクラウドについてちょっとご紹介


コージー・ミステリの女王と言われ、アメリカ女性の間で大人気を誇ったシャーロット・マクラウドですが、2005年に82歳で亡くなりました。

日本でもとても人気があったのですが、最後の作品まで翻訳されなかったのが残念。

主な作品としては、シャーロット・マクラウド名義でピーター・シャンディ教授シリーズセーラ・ケリングシリーズ

そしてアリサ・クレイグ名義でマドック・リースシリーズディタニー・ヘンビットシリーズを書いています。

短編も多数。


言葉を扱うことが好きだった彼女の作風は、ユーモアにあふれウィットに富んでいます。

(残念ながら現在の日本ではあまり理解してもらえなくなってしまったのでけれど…)

英国ウェールズの雰囲気がそこかしこに感じられ、ウェールズを舞台にした作品も多いです。

彼女自身はカナダ生まれなのですが、午後のお茶の時間を大切にしていたそうです。

そして登場人物はしょっちゅうお茶を飲んだり、何かおいしそうなものを食べているんですよね。

ミステリなのに銃がほとんど出てこないので、現代アメリカ(といってももう30年以上前の)とは信じがたいものがありますが、ちゃんと事件は解決します。

そして読後感はさっぱり、ほっこりしていることが多いです。

まあコージー・ミステリというジャンル自体が、それまでの男性中心のミステリ、ハードボイルドや本格ミステリといった殺伐とした物語に対抗するように確立されていったジャンルですからね…

それについては別途記事を作りたいと思います。


にぎやかな眠り」は、私がマクラウドにハマるきっかけになった作品です。

表紙をリニューアルした新版が4作分しか出版されていないのが、とても残念。

全作品の新版が無理なら、せめて電子書籍化を!お願いします!


※こちらでマクラウドの短編のレビューを書いています。

短編でも彼女の作風は十分にわかるのでぜひ!

castleslove.hatenablog.com


<読み進む前に>

  • 一部ネタバレあり。
  • あらすじは筆者が作成したものです。
  • 感想・おススメ度はあくまで筆者の個人的な印象に基づいています。



(広告スペース)


おススメ度


  • 評価  :★★★★★(何度も読み返してます!)
  • ミステリ度:★★★★(やや緩いとはいえちゃんとしたミステリです)
  • 恋愛度:★★★★(若者には理解しがたいかもですが)



あらすじと感想



これはうちにある新品で買った新版の紙書籍です。

こちらは中古で買った旧版の方。写真が下手なのでくすんでるけど実物はもっとキレイ。


主人公紹介


バラクラヴァ農業大学のピーター・シャンディ教授登場!

56歳、容貌いたって普通。

有能で裕福で、それなりに女性との付き合いはあったものの、学問命の独身男性。

でも独身生活が長すぎたか、意固地になってとった行動が災いして、自宅で殺人事件に巻き込まれ、その解決を命じられる。

心地よいミステリを書くシャーロット・マクラウドの魅力を味わえます。

時間を無駄にしない、熟年のロマンスも楽しめますよ(笑)。



あらすじ


米国マサチューセッツ州にある架空の田舎町、バラクラヴァ郡バラクラヴァが舞台。

バラクラヴァ農業大学で教授を務めるピーター・シャンディは、町内外から人が集まり浮かれ騒ぐ恒例のクリスマス・イルミネーションを忌み嫌っていた。

各家が電飾などで自宅を飾り立てることになっており、毎年押しつけがましい担当役員の女性が彼に飾り付けを強制しようとやってくるのだ。

うんざりしていたシャンディは、今年はただ逃げ出すのではなく、趣向を変えようと企んだ。

彼の企みが成功すれば、彼女も懲りて毎年の強制をやめるだろう。

腹立ちのあまり浅慮になっていたシャンディは、独り暮らしが長すぎて偏屈になっていたのかもしれない。

ピッカピカのどぎつい電飾とやかましい音楽をセンサー付きで仕掛けて親戚の元へと旅立ち、いろいろあってやっと帰宅した彼を待っていたのは、そのおせっかいな女性の死体だった。

なぜ彼女が彼の部屋にいるのか、なぜ殺されているのか、誰が殺したのか。

彼女はシャンディの親友の妻でもあったので、彼はぜひとも真相を探り当てなくてはならなくなったのだが…


感想 


※英語版ですがオーディオブックもあります。私は audible 派。

Rest You Merry: The Peter Shandy Mysteries, Book 1 Audible版 – 完全版


※Audibleについてはこちらで紹介しています。

castleslove.hatenablog.com



マクラウドの長編ミステリデビュー作です。

1965年ごろに原型のストーリーを書いていたそうですが(短編集「お楽しみが一杯!」に収録)、ボツになったのでお蔵入りしていたそう。

長編にするにあたって、舞台を個性的な架空の町にして、主人公ピーター・シャンディの職業や勤務先もユニークなものにしています。


ピーター・シャンディは初登場時、56歳の独身男性。

容姿は可もなく不可もなく、頭頂部がちょっと薄くなりかかっているものの、女性にはそれなりにモテてきた。

バラクラヴァ・バスターという、牛の飼料用カブの新種を開発したところ大ヒット。

なので懐もそれなりにあたたかい、という夢見る女性読者が身構えるような主人公設定で始まります。


彼は町の名物になっている、クリスマス・イルミネーションを押しつけられることに反発し、(お金があるので)業者を雇ってわざとどぎつい装飾で自宅を飾りつけると、(お金があるので)船旅に出てしまいます。

アガサ・レーズンシリーズのように、この偏屈オヤジの独りよがりな探偵ぶりを読むことになるのかと思いきや(あのシリーズはそこが結構おもしろいんですが)、

彼は旅先でトラブルに遭い、いたく反省して戻ってくることに。

ストーリーが進むに従って、当初の偏屈ぶりは影を潜め、農業をこよなく愛する情熱的?で有能な大学教授へとキャラクターが変化していきます。

これが本来の彼なのでしょう。

ロマンスも、謎解きに奔走するのもそれほど不自然ではなく、読者も応援する気になっていきますよ(たぶん)。


さてさて、真相は結構生臭かったりしますが、大学にありがちな問題をさらりと描写し、すっきり解決してくれるので、読後感が良かったです。



基本情報


自分の情報整理のための覚書ですが、お役に立てば幸いです。

原題・出版年等


原題:Rest You Merry シリーズ名:Peter Shandy Mysteries Book1

著者:シャーロット・マクラウド Charlotte Macleod

訳者:高田 惠子

舞台:米国、マサチューセッツ州バラクラヴァ郡バラクラヴァ・ジャンクション(架空の町)

初版年:1978年(日本1987年)創元推理文庫

日本語版新版:2015年 創元推理文庫


(覚書)

購入形態:紙書籍・電子書籍・オーディオブック

購入サイト:honto楽天KoboAudible



登場人物(クリックで詳細へ)


<教授とその家族>
・ピーター・シャンディ
・エイムズ家
・スヴェンソン家
・エンダーブル家/ダイサート家
・フェルドスター家/その他教授

<大学職員>
・ポーブル家
・カドウォール家/ジャックマン家

<大学警備員>

<大学事務員/学生達>

その他町民

町外の人々

その他


バラクラヴァ農業大学関係


<教授とその家族>

シャンディ家

ピーター・シャンディ Peter Shandy
応用土壌学教授。数を数えるのと、韻文を読むのが好き。
18年前から、クレッセント通りにあるレンガ造りの小さな教職員住宅に住む。
きちんとして見える上質の衣類が好み。
メガネをかけている。中肉中背で、容貌はいたって普通。


エイムズ家

ティモシー・エイムズ Timothy Ames
応用土壌学教授。シャンディの親友。
非常に耳が遠い上、読唇はできるがひどい近眼なので、優秀な頭脳を持ちながら存在を軽視されがち。小柄。

ジェマイマ・エイムズ Jemima Ames
ティモシー・エイムズの妻。
シャンディと同い年で、大学図書館司書助手。
社交的で精力的で他人の家の中のことに口出しをしがちだが、自分の家庭内の家事には興味がない。
夫やシャンディより背が高い。

ジェミー Jemmy
エイムズ夫妻の娘。
カリフォルニア在住、まもなく出産予定。
夫の名はデイヴ・・・のはず。バックかも?

ロイ・エイムズ Roy Ames
エイムズ夫妻の息子。
海洋研究所に勤務。南極へ向かう途中。


スヴェンソン家

トールシェルド・スヴェンソン Thorkjeld Svenson
バラクラヴァ農業大学学長。
大柄で大声を出す上、不正を見逃さないため周囲から恐れられているが、妻には頭が上がらない。

シーグリンデ・スヴェンソン Sieglinde Svenson
スヴェンソン学長の美しく有能な妻。夫と同じくらい大柄。
夫の健康管理や生活習慣に対して非常に厳しい。

インゲボルイ・スヴェンソン Ingeborg Svenson
スヴェンソン夫妻の娘の一人。
背が高く色白で金髪。(「蹄鉄ころんだ」では、この名前が忘れられていますが…)

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エンダーブル家

ジョン・エンダーブル John Enderble
大学の老名誉教授で動物誌専門の著名な学者。
妻と共に、町民に敬愛されている。

メアリ・エンダーブル Mary Enderble
ジョン・エンダーブルの妻。動物好き。
古風な民芸人形のような容貌の陽気な女性。


ダイサート家

ボブ・ダイサート Bob Dysart
電子工学助教授。町で唯一のポルシェの持ち主。
注目を浴びるのが好きで、派手な性格。

アデル・ダイサート Adele Dysart
ダイサートの裕福な妻。
社交的で立派な歯の持ち主。


フェルドスター家

ジム・フェルドスター Jim Feldster
シャンディの隣人。教授。

ミレール・フェルドスター Mirelle Feldster
ジム・フェルドスターの妻。詮索好き。


その他教授

ストット Stott
ブタ専門の教授。頭も心も魂もすべてブタに捧げている。
人柄は良いが寡黙。

ミセス・ムーズーカ Mrs. Mouzouka
家政学の講師?で、教職員食堂担当。
グルメ料理講座も受け持つ。


<大学職員>

パム・ワゴナー Pam Waggoner
畜産学部の助手。独身。
シャーリー・レンと一緒に教員住宅に住んでいる。

シャーリー・レン Shirley Wrenne
講師。先住民の工芸が専門。独身。

ネッド Ned
工学関係の助手。ダイサートの取巻きの一人。


ポーブル家

フィル・ポーブル Phil Porble
大学図書館長。
責任感が強く仕事熱心だが、やや視野が狭い。

グレース・ポーブル Grace Porble
フィルの妻。

リズアン・ポーブル Lizanne Porble
ポーブル夫妻の娘。14歳くらい。


カドウォール家

ベンジャミン・カドウォール Benjamin Cadwall
大学の監査役。エイムズ家の隣に住む。
すでに巣立ったベニータとフランクという子どもがいる。
他人の秘密を知ることに喜びを覚える。

ハンナ・カドウォール Hannah Cadwall
ベンジャミン・カドウォールの従順な妻。
ジェマイマ・エイムズの忠実な友人。


ジャックマン家

ロジャー・ジャックマン  Roger Jackman
シャンディの隣人。大学職員。

シーラ・ジャックマン Sheila Jackman
ロジャー・ジャックマンの妻。

ジョジョ、ディッキー、ウェンディ Jojo、Dickie、Wendy
ジャックマン家の子どもたち。ジョジョは9歳。


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<大学警備員>

エディー・グリンブル Eddie Grimble
大学の警備主任。
事なかれ主義で、他者に責任を押しつける傾向がある。

サム Sam
警備員。グリンブルのヘッド・アシスタント。

ネッド Ned
警備員。ダイサートの取巻きとは異なると思います・・・たぶん


<大学事務員/学生達>

ジェイミー・フロード Jamie Froude
大学の営繕係。

ミス・ティベット Miss Tibbett
大学の学生登録課事務員。

ミス・バクスター Miss Baxter
大学の事務員。


ハイディ・ハイホー  Heidi Hayhoe
ブロンドで大柄の、美人の女子学生。
はめをはずしたがるタイプ。

ハンソン Hanson
がっしりした体格の二年生。

ジャッキー Jackie
家政学専攻の女子学生。


その他町民


<警察官>

フレッド・オッターモール Fred Ottermole
町の警察署長。
大柄な若い男で、外見に気を遣っている。

バッジ・ドーキン Budge Dorkin
町の警察署巡査。
数年前までシャンディの家で芝刈りのアルバイトをしていた。


<専門職その他>

ドクター・メルシェット Dr. Melchett
町の医者。

ハリー・グールソン Harry Goulson
町の葬儀屋。
墓場荒らし(グール) のハリーと呼ばれているが、善良で誠実な人物。

ミセス・ローマックス Mrs. Lomax
通いの家政婦。
複数の家庭で家事を請け負う。結婚してポートランドに住む娘がいる。
バラクラヴァのことで知らないことはないと言っていい。

チャーリー・ロス Charlie Ross
町で自動車整備工場を経営している。
駐車場がないクレセント通りの住民の車を預かったり、レンタカーを貸したりもする。

チャーリー・フォースター Charlie Forster
おんぼろトラックの持ち主。
もしかするとチャーリー・ロスと同一人物?

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町外の人々


ヘレン・マーシュ Helen Marsh
エイムズ夫妻の娘ジェミーの夫、デイヴ(バックかも)の母親の従妹にあたる。
40歳くらいで、生き生きとした小柄なブロンド女性。
図書館学の博士号を持っているが、失業したのでカリフォルニアからエイムズ教授宅の留守番をしにやってきた。

ヘンリー Henry
シャンディ教授の年上のいとこ。
バラクラヴァ・ジャンクションからグレイハウンドのバスで3時間ほどのところに住んでいる。

エリザベス Elizabeth
ヘンリーの妻。夫ともども、もの静かな性格。
(日本語版だとエリザベスが従姉であるような書き方ですが、原作では cousin Henry and his wife とあるので、いとこはヘンリーの方だと思われます)

アリス Alice
エリザベスの姪。シャンディは幼い頃から知っている。
現在は26歳、結婚して3人の子どもがいる。
(日本語版だと「エリザベスの娘」とありますが、原作では niece of Elizabeth's になっています)

オリベッティ Olivetti
州警察の警官。


その他


バラクラヴァ・バギンズ Baraclava Buggins
大学の創立者。

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ピーター・シャンディ教授シリーズ


このシリーズは結構古いので、紙書籍では中古本しかありません。残念。

電子書籍は創元推理文庫から出版された最初の4作品のみ。


長編

① にぎやかな眠り ピーター・シャンディ教授シリーズ (創元推理文庫)
本書

② 蹄鉄ころんだ ピーター・シャンディ教授シリーズ (創元推理文庫)
新婚なのにまた事件!

③ ヴァイキング、ヴァイキング ピーター・シャンディ教授シリーズ (創元推理文庫)
104歳のヒルダ登場。80代の甥はまだまだ若造だね!

④ 猫が死体を連れてきた ピーター・シャンディ教授シリーズ (創元推理文庫)
ろくでもない人々の集まりはやっぱりろくなもんじゃない

⑤ オオブタクサの呪い (創元推理文庫 246-8)
ウェールズはこんなところなの?

⑥ ウーザック沼の死体 (扶桑社ミステリー マ 4-1)
殺されたのは誰なのか…

⑦ 風見大追跡 (扶桑社ミステリー マ 4-3 シャンディ教授シリーズ)
ヘレンの新しいスニーカーがかわいい

⑧ フクロウが多すぎる (創元推理文庫 M マ 4-12)
嵐の川下り

⑨ 水のなかの何か (創元推理文庫 M マ 4-20)
不思議な水

⑩ 牛乳配達退場 (創元推理文庫 M マ 4-26)
堂々のシリーズ最終巻



短編

にぎやかな眠り
(短編集「お楽しみが一杯!」に収録) 

お楽しみが一杯 (創元推理文庫 M マ 4-15)

贋札造りのクリスマス
(アンソロジー「サンタクロースにご用心」に収録)

サンタクロースにご用心 (扶桑社ミステリー マ 4-4)

その他のシリーズもおいおい紹介しますね。どれもおススメですよ。