電子書籍で再販されないかなー。英語版あったっけ?
(最初にレビューを書いた時点では英語版があったのですが、見直して見るとamazonからなくなっていたので削除しました)
こんなんですね。電子書籍はない・・・
コージー・ミステリの作家として一世を風靡したシャーロット・マクラウドの、不思議でほんわかとあったまる短編がおススメ!どうやらこの短編集でしか読めないらしいです。
<読み進む前に>
- 一部ネタバレあり。
- あらすじは筆者が作成したものです。
- 感想・おススメ度はあくまで筆者の個人的な印象に基づいています。
おススメ度
評価 :★★★(普通。一部★★★★★)
ミステリの難易度:どちらかというと、ミステリではなく、サスペンスとファンタジーが多いです。
あらすじと感想
※超ネタバレあり!ご注意ください!
あらすじ
おすすめの2作品のみ、簡単なあらすじを記しておきます。
内なる獣:
ドアマットタイプの性格ゆえ、モラハラ夫の言うがままになっていたヒロインに、ある晩不思議なことが起きる。猫と心が入れ替わってしまったのだ。
身体が猫になった彼女は、その後なんとか人間に戻ろうとするのだが…
魔女のオレンジ猫:
貧しい画家であるヒロインは、ある日悪徳不動産屋にすすめられるまま、家賃の安さにひかれて、街から離れた一軒家を借りる。
実はそこは、魔女の住処だった。
感想
最後の2作品以外は、アイロニックでアンハピーエンド(こんな英語があるかどうか知らないけど)、
登場人物はすべて一癖ある、という昔風のショートミステリがほとんどで、まったく浸れませんでした。
少なくとも、cozyじゃない。
若いころさんざん読んだ作風のものが多く、新鮮味がなかったというべきでしょうか。
ユーモアもエスプリも感じられない作品ばかりで辟易しました。
猫版サム・スペイドに至っては、「マルタの鷹」のパロディなんだけど、
「ごくせん」番外編の探偵猫の話を思い出してしまった。もっと短ければ楽しめたかも。
本当に、昔はこんな話が人気だったんだろうか。
まあ、思い出しても、結構そんな感じのミステリが多かったような気がする。
思い出すと背筋がぞっとしたり、いやな後味が残ったり。
だから女性に不人気で飽きられてしまい、
1980~90年代になって、「コージー・ミステリ」という、
理屈っぽくなくてほんわかするミステリのジャンルができたんでしょうね。
あのアガサ・クリスティでさえ、男性作家や評論家からは、さんざんな言われようだったらしいですから。
というわけで、わたし的におもしろかったのは最後の2編だけ。
「内なる獣」 マーガレット・マロン
パワハラモラハラ身勝手夫に人生を壊されたヒロインが、真実の愛を見つけて幸せになる話。良かった。 (そこに至る道はSF的だし、結局モラハラ男を殺したのは…だけどね)
「魔女のオレンジ猫」 シャーロット・マクラウド
貧しいけど頑張り屋のヒロイン(しかも不思議だらけの家になにも疑問を抱かないハッピーな人)と魔女と猫が、
最後にはみんな幸せになった話。
シャーロット・マクラウドらしい、ほんわかしたcozyな作品でした。
この作品を読むためだけに買ったのですが、他にも面白い作品があったし、買ったかいはあったかな。
自分用に、この2編だけ自炊して電子書籍にしようかな…
基本情報
自分の情報整理のための覚書ですが、お役に立てば幸いです。
原題・出版年等
原題:Cat Crimes II
著者:シャーロット・マクラウド Charlotte Macleod ほか
編者:マーティン・H・グリーンバーグ Martin H. Greenberg、エド・ゴーマン Ed Gorman
訳者:高田恵子他
初版:1992年(日本1994年 二見文庫)
(覚書)
購入形態 :紙書籍
収録作品(掲載順)
- 水曜日の女(長編風短編の試み)EVERY WEDNESDAY ( A Novel Idea for a Short Story) ナンシー・ピカード
- ブロンドの微笑 THE SCENT OF SPICED ORANGES レス・ロバーツ
- わがままモニカ KITTY LITTER リチャード・レイモン
- 老婆のおもてなし CAT LADY キャロリン・ウィート
- マルタの鳥 THE MALTESE DOUBLE CROSS キャロル・ネルソン・ダグラス
- どこもみな似たようなもの ALL PLACES ARE ALIKE ジューン・ヘイドン
- 殺意はめぐる TO KILL A CAT バーバラ・コリンズ
- 飢え HUNGER クリストファー・フェイ
- 内なる獣 THE BEAST WITHIN マーガレット・マロン
- 魔女のオレンジ猫 A LONG TIME SITTING シャーロット・マクラウド
(こちらもどうぞ)コージー・ミステリの女王、シャーロット・マクラウドのおススメ作品
代表的なシリーズが2つありまして、それぞれの第1作目はこちらです。
架空の田舎町が舞台。ピーター・シャンディ教授が主人公の、ユーモアたっぷりなミステリ。
ボストンの旧家の一員である若い人妻、セーラ・ケリングが主人公。第一作はちょっと暗め。第二作から本領発揮です。
その他、もっと軽く読める別名義の2シリーズがあります。いつかちゃんと紹介したいけど古いからなあ。