構成が荒っぽいので、シーンが想像しにくかったです。雰囲気と設定は、「 微笑むまでそばにいて 」に似ているかな。
<読み進む前に>
- 一部ネタバレあり。
- あらすじは筆者が作成したものです。
- 感想・おススメ度はあくまで筆者の個人的な印象に基づいています。
おススメ度
評価 :★★★★(おまけ)
ホット度:あったっけ?というくらい、シャロン・サラにしてはかなり少なめ。
あらすじと感想
※超ネタバレあり!ご注意ください!
あらすじ
地元の名家で影響力のある家に生まれ育ったリーが、家柄にそぐわないと家族に結婚を反対され、スタントンと駆け落ちしてから35年が経っていた。
家を出るときには、スタントンを殺すとまで脅迫され、勘当されたが、
夫婦には、今では5人の(たぶん)成人した息子たちがいる。
山奥で投資コンサルタントをして暮らすふたりは、孫まで授かり、幸せな毎日を送っていた。
しかし突然スタントンが殺され、リーの実家の姓を書き残していたことから、平穏な日々は終わりを告げる。
残された妻リーは、夫スタントンの死の真相を暴くべく、長男を呼び戻し、
5人の息子たちとともに、実家という大きな壁に立ち向かってゆく。
…あれ?ロマンスはどこに入るんだっけ?
感想
いやはや。シャロン・サラは時々とても残念な作品を書いてしまうんだけど、これもその一つかなー。
まず、日本版のタイトルがひどすぎる(これはシャロン・サラのせいじゃないけど)。
その上、とても重い内容でかつ登場人物も多いのに一冊にしちゃったために、かなり荒っぽいストーリー展開になっている。
「雑!」というのが正直な感想。
上記のあらすじが本筋で、そのついでに長男ボウイが7年前に別れたタリアとよりを(簡単に)戻す、
という超薄いロマンスがあります。
ヒロインは一貫して母親のリーであり、タリアはおまけです。
ヒーローは兄弟5人で、ボウイではないような。
ただ、心情が描かれているのがボウイだけなんだけどね。
ボウイとタリアは事件の解決にもあまり関わらないし、タリアに至ってはとばっちりを受けるだけで、解決への関与はゼロ!なのでヒロインとは言えない。
ロマンスの方も、ボウイ(ヒーロー?)は、恋人タリアが大けがしたのに、すぐに病院へ駆けつけないで一旦帰宅してるし
(後悔してるけど、帰宅を思いつくだけでもありえない)、ちょっとびっくりしちゃいました。
シャロン・サラの献身愛ヒーローではナイよ、ないない。なんなのこの男。
それから、そもそも、リーが駆け落ちしてから35年経っているという記述が冒頭にあるので、
たぶんリーは若くても50代前半くらいだと思うんだけど(と思ったら、姉と訳されているニータが最近50の大台に乗ったとの記述を発見しました!リーが妹とすると40代後半ということに)、
長男は19歳か20歳でタリアと別れ(プロポーズしたら断わられた)、
それから7年経っているという設定なので、どう年上に見積もっても27歳。
だってタリアは19歳のとき別れた(たぶん誕生日の数か月後)と書いてあって、
ボウイと同学年という記述があちらこちらにあるから。
ボウイが留年していたとしても、せいぜい1歳くらいしか違わないはず。
ということは、リーとスタントンの夫婦には、結婚してから10年近く子供ができなかったことになる。
まあ、それは不自然とまでは言えないけど、問題はあと4人息子がいて、うち3人は結婚しており、1人には子供もいるということ。
田舎だから自然なの?だって五男のジェシーは四男のエイダンより2歳下なんだよ。
ジェシーは軍隊に入って、戦闘に参加して障害を負った。
どんなに若くても、今19か20歳くらいでしょう。
そうするとエイダンは21か22歳、その上に3人の兄がいて長男は26か27歳という・・・・ちなみに双子がいるという記述はなかったと思います。
長い間待ってやっと長男が生まれたので、あとは自然に任せてポンポン産んだんだろうな。ということにしておこう。
素直に考えると、シャロン・サラが計算を10年まちがったんじゃないかと言いたいところだけど。
ボウイとタリアが別れてから17年経っているのなら・・・それでも合わないか。
どうも経産婦はついこんなことを考えてしまってよくないですね!
なんだかその年齢差(のなさ)や、ボウイが19や20歳でタリアにプロポーズして断られたから傷ついて遠くに就職した、とかいうことが「はあ?」という感じで、ずっと引きずりました。
せめてタリアよりボウイが年上だった、という記述がないかと読み続けましたが・・・でもなかった。
「あなたたちより一学年下よ」という女性も出て来たしねー ふむ。
こだわり過ぎといえばいえるでしょうが、素晴らしい息子たちだとシャロン・サラがあまりに何度も強調しているので、つい気になっちゃいました。
母リーはいいんですけどね。最強だし。
全体の雰囲気は、2015年~2016年にかけて出版された三部作(こっちは良作だと思う)「哀しみのハート」「凍てつくハート」「翳りゆくハート」を無理やり一冊にまとめたような感じです。
この作品も三部作にすればもっと良かったのかもしれません。
でもこの実家とのテンション高い言い争いをずっと読まされるのは疲れるだろうから、やっぱり一冊でいいや。
ロマンスを望まなければ結構スカッとする作品でした。★ひとつおまけで足しました。
基本情報
自分の情報整理のための覚書ですが、お役に立てば幸いです。
原題・出版年等
原題:Family Sins(このタイトルは内容に合っている)
著者:シャロン・サラ Sharon Sala
訳者:新井ひろみ
初版:2016年(日本2017年)
舞台:米国、ウェストバージニア州? イーデン
(覚書)
購入形態 :電子書籍
購入サイト:honto
登場人物
ヒロイン1:リー・ヤングブラッド(主婦兼投資コンサルタント、40代後半くらい?5兄弟の母親)
ヒーロー : ボウイ・ヤングブラッド(ヤングブラッド家の長男、リーの息子、26歳くらい?)
ヒロイン2:タリア・チャンピオン(ボウイの元恋人、26歳くらい、アルツハイマーの父親を介護中)
その他 :
<ヤングブラッド家>
サミュエル、マイケル、エイダン、ジェシー(二男から五男)、スタントン(リーの夫、5兄弟の父親)
<ウェイン家(リーの実家)>
ジャクソン(ジャック、現総帥、先代の末弟)、ブレイク、ニータ、フィオーナ、ジャスティン(先代総帥の子供たち。ジャスティンとリーは双子)、チャールズ(ブレイクの息子)
(こちらもどうぞ)「ハート」三部作ほか シャロン・サラ
★最強のダブルヒロインを描いた作品
★この作品と同時期に出版された良作
<ハート三部作>