コージーなロマンス、コージーなミステリ

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希望は君の瞳の中に スーザン・ブロックマン

多才な作家、スーザン・ブロックマンのSEALs(シールズ、米国海軍特殊部隊)シリーズの第3作目。


1作目 私のプリンス (mirabooks) から5年。

今度はあの事件で膝に重傷を負ったフリスコが主役。
彼がもうSEALとして働けないことを受け入れて、別な人生を歩み出すまでのお話。

コミックス版は檀 からんさん。あいにく読んでいませんのでこれについてはレビューなし。


<読み進む前に>

  • 一部ネタバレあり。
  • あらすじは筆者が作成したものです。
  • 感想・おススメ度はあくまで筆者の個人的な印象に基づいています。


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おススメ度


評価  :★★★★+(結構好き!)

ホット度:★★★(少ないけどちゃんとあります!)

あらすじと感想


※超ネタバレあり!ご注意ください!

あらすじ


アラン・フリスコ(フランシスコ)は5年前任務中に膝に大けがを負い、 以来軍の病院とリハビリセンターを行ったり来たりする生活を続けていた。

彼にはリハビリで肉体を元に戻しシールの任務に戻るという不屈の意志があったが、現実は残酷だった。

何度かの手術と懸命なリハビリにもかかわらず、激痛に耐えながら杖でやっと歩けるというほどの回復状態。

元上官で友人でもあるジョー・カタラノット(キャット)の見舞いにも、怒りとフラストレーションを溜め込んでいる彼は鬱屈した気分で対応する。

そしてある日担当医師から、これ以上の回復は望めないため退院せよ、脚を休ませろという宣告が下される。

キャットからも別な生き方を提案されて、怒り心頭のフリスコ。彼は自分が障害者になったとは絶対に認めたくなかったのだ。

今後のことを考えなくてはならないが、シールが人生の全てであったフリスコには絶望しかない。

痛みを紛らすために酒に逃げたり、攻撃的になったり、卑屈になったり。

魅力的な隣人マイアに好意を持つが、劣等感がいや増してつい侮蔑的な態度を取ってしまう。

しかしそんな生活は急転回。いつも彼を困らせる姉に5歳の娘を押しつけられたのだ。

突然姪を預かることになったとはいえ、彼は困った姉も姪も愛していたので、なんとか世話をしようとする。

しかし自分の面倒を見るのもやっとなのに、5歳の子の世話ができるのか?

それとなく手を差し伸べようとするマイアを拒絶しきれず、ついに彼は彼女を頼ることになる。


教師をしているマイア・サマートンは戦争反対論者の両親の元で育った。

彼女自身も戦争には反対で、職業軍人には反感を覚えるし、武器と暴力はこの世に存在してはいけないと思っている。

ある日これまでずっと留守だった隣の部屋に、退役軍人と聞いている借主が戻ってきた。

彼女は退役軍人に職業的な興味を抱いていたが、実際に会ってみると彼は若く、大酒呑みで、刺々しい態度で彼女を煽ってきた。

自分の子供?を預かるように金髪女性に頼まれても冷たい態度。子供が嫌いなのだろうか。

彼には近づかないようにしようと決心した矢先、ずっと仏頂面だったアラン・フランシスコが笑った。

彼は笑えるのだ。笑顔の彼はとてもステキ。

そして女の子は彼の姪で、アランは彼女にとても優しく話しかけて抱きしめた。

いったいどういう人なの?

姪のスーツケースを2階の自分の部屋に運べずにいる彼に気付くと、マイアはさっさと掴んで運んでしまう。

「手を貸してくれなんて頼まなかったぞ」彼は低い声でうなるように言った。
「ええ、あなたが絶対に手助けを頼まないのはわかっていたわ。手伝いましょうかと言ったらあなたが怒って手伝わせてくれないこともわかっていた。いまなら好きなだけ怒っていいわよ。スーツケースはもう上にあるから」
マイアはほほ笑んだ。「さあ、どうぞ。気がすむまでどなりなさい」

アランに魅かれていく自分を止められず、彼の姪にも教育者として関わっていく。

教え子トーマスを巻き込みながらターシャとアランを見守るマイア。

アランには、現実を受け入れて自分なりのSEALsへの関わり方を見つけるよう勧める。

人に頼ることは恥ではない、仲間に助力を乞うようにと。

アランは彼女のアドバイスを聞き入れるのだろうか…

(フリスコがヒーローの呼び名ですが、マイアはアランと呼んでいるのでアランにしてみました)


感想 


上の引用だけでも、ヒロインのマイアがどんな女性かわかりますよね。

スーザン・ブロックマンの「シール」シリーズ第3作。

シールズは、ウサマ・ビン・ラディンの殺害を実行したことで日本でもよく知られるようになりましたが、それまではあまり一般的でなかったかも。

米国海軍特殊部隊のことで、5週間に渡る地獄の基礎訓練をくぐり抜けた、恐ろしくタフで有能な連中の集まり。

SEALsという名称は、SEがSEA(海)、AがAIR(空)、LがLAND(陸)と、陸海空のアルファベットの頭文字から取られています。

英語のアザラシ(seals)に引っかけてもいますね。

SEAL(シール)だけなら、そのうちの一人ということで、隊員一人一人を指す場合はシール、部隊そのものを指す場合はシールズというのが適切でしょう。

こちらにWikipediaの情報があります(日本語)。

ja.wikipedia.org


でも、本編に詳細な情報が出てくるので、これはあくまで補足ですね。

この小説が書かれたころは男性のみだったかと思います。


前置きはこのくらいで、内容の感想をば…

シリーズの1作目(私のプリンス (mirabooks))と2作目(あの夏のヒーロー (mirabooks))があまりに完璧なヒーローだったので、弱みの多いフリスコはとても私好み。

このシリーズを読むと、アメリカ人女性がどんな男性を求めているかなんとなくわかる気がする。

ハンサムで、大きくて、たくましくて、強くて、寛大で、子供と女性に優しくて、頭もいい。

フリスコも例外ではなく、今はいじけているけど本当は勇敢で思いやりのあるいい男のはず。

でも彼はあの忌々しい王子のせいで一生ものの怪我を負ってしまった。
もう肉体を酷使する最前線にシール隊員として参加することはできない。

フリスコは荒れますよ。当然ですよね。

マイアは初対面でそんな彼を見て、アルコール依存症だと誤解します。

実は老いた退役将校なら戦争について生徒に語ってもらいたいと思っていたけれど、こんな生きのいい退役軍人じゃそれは無理。

だから避けようとするけど、フリスコが姪の世話に苦労しているのを見て、結局ガッツリ関わる。

マイアの見た目はポリネシアンかハワイアンっぽい小柄な美人。性格は真面目で教え子のトーマスにも慕われている。

自己主張は抑えめで、おしゃべりではない。でもドアマットでもなくて一本筋が通っている。

体型は細身でも性格は柔らかで包み込むタイプなのが、2作目のヒロイン・ルーシーとはちょっと違うかな。

マイアはたぶんこのシリーズで唯一、「一緒に戦う」というタイプではないヒロインなんですよね。
暴力反対派だし…

アメリカのラブ・ストーリーって、結構銃器が出てくるじゃないですか。

シャロン・サラとかダイアナ・パーマーとかは特に、武器肯定派な感じ。舞台となる場所にもよりますけど。

マイアは攻撃的でも意地っ張りでもない。武器も暴力も使わない。

それでもナターシャを抱えてちゃんと凶悪犯に立ち向かってくれる。

そして最後は覚悟を決めたフリスコがちゃんとヒーローをしてくれます。良かった。

だってトーマスがすごくいい奴で、ターシャも意志の強いタフな少女だから。

未翻訳ですが、二人は実はシリーズ13作目の主人公。

今回もフリスコが頑張らないと食われるところでした。



基本情報


自分の情報整理のための覚書ですが、お役に立てば幸いです。

原題・出版年等


原題:Frisco's Kid シリーズ名はTall, Dark and Dangerous

著者:スーザン・ブロックマン Suzanne Brockmann

コミックス版著者:檀 からん

訳者:松村和紀子

舞台:米国、テキサス州サンフェリペ

初版年:1997年(日本2009年?紙書籍はもっと前かもしれないけど不明)


(覚書)

購入形態:電子書籍

購入サイト:Amazon.co.jp



登場人物


ヒロイン:マイア・サマートン(教師、30歳手前)

ヒーロー:アラン・フランシスコ(フリスコ)(元シールズの隊員、30台前半)

その他:シャロン(フリスコの姉)、ナターシャ(ターシャ)(シャロンの娘)、トーマス・キング(マイアの元生徒)



シリーズ作品 危険を愛する男たち


このシリーズは結構古く、ハーレクインなので昔の表紙はかなりクラシックだったりします。 でも読んでも古臭い感じはしないし、内容としてはMIRA文庫版の表紙の方が合っていると思う。

① 私のプリンス (mirabooks) 
ジョー(キャット)とヴェロニカ

② あの夏のヒーロー (mirabooks)
ブルーとルーシー

③ 本作

④ 招かれざる求婚者 (mirabooks)
ジョーンズ(カウボーイ)とメロディ

⑤ 誇り高き微笑 (mirabooks)
ハーヴァードとP・J

⑥ 禁断の口づけ (mirabooks)
クラッシュとネル

⑦ 遠き日の英雄でなく (mirabooks)
ジェイクとゾーイ(年の差カップル)

⑧ 希望への旅人―危険を愛する男たち〈8〉 (MIRA文庫)
ミッチとレベッカ

⑨ ラッキーをつかまえろ (mirabooks)
ラッキーとシド(本作品にも登場するラッキーのお話。トーマスとターシャも出ます)

⑩ 大いなる誘惑―危険を愛する男たち〈10〉 (MIRA文庫)
ボビーとカリーン

⑪ 孤独を抱いて眠れ (mirabooks)
ウェズとブリタニー(私のお気に入りです)

⑫ SEAL Camp: (Tall, Dark and Dangerous Book 12) (English Edition)(日本語版なし)
スペースマンとAshley

⑬ King's Ransom: (Tall, Dark and Dangerous Book 13) (English Edition)(日本語版なし)
トーマスとターシャ(ついに!)

⑭ Blame It on Rio: Tall, Dark & Dangerous # 14 (English Edition)(日本語版なし)
リオとCasey