コージーなロマンス、コージーなミステリ

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傷だらけのエンジェル シャロン・サラ

傷だらけのエンジェル (mirabooks)

傷だらけのエンジェル (mirabooks)

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ダブルヒロインだけど、とにかく二人ともタフで魅力たっぷり。読みごたえがあって読後感最高のおススメ作品。


<読み進む前に>

  • 一部ネタバレあり。
  • あらすじは筆者が作成したものです。
  • 感想・おススメ度はあくまで筆者の個人的な印象に基づいています。


おススメ度


評価  :★★★★★+(すごーくお気に入り!)

ホット度:シャロン・サラにしては少なめ。


あらすじと感想


※超ネタバレあり!ご注意ください!

あらすじ


スターラはごく普通の家庭で、両親と兄の愛情を受けて育った。

しかし高校生のとき、インターネット上で知り合った男にだまされ、人身売買組織に拉致されてしまう。

ところが彼女はオークションにかけられたものの、売られることはなかった。

組織の黒幕であるアントン・バーバに気に入られ、愛人になったのだ。

それから7年、スターラはいつかこの軟禁状態から抜け出すことをひそかな目標として、バーバの機嫌を取って生き延びてきた。

運よく息子を産むことも許され、サミーはスターラの生きがいとなったが、母となった彼女に退屈したバーバが自分を売ろうとしていることに気づき、脱走を計画する。

 

クィンは里子として育った。

幼いころには里子仲間にニックというヒーローがいたが、彼が親戚に引き取られてからの20年間は、ずっと孤独だった。

最後に引きとられた家での虐待で、命の危険を感じ、脱走。

それからはずっと一人でたくましく生きてきた。

ところが、いつものように町から町へ、愛車ハーレーに全財産を積んで移動中、燃えさかる車のそばにいた幼児を助けてから、彼女の運命は劇的に変わる。




感想 


これは「当たり!」のシャロン・サラでした。

必ず主要人物が大けがをする彼女の作品ですが、本作では最初の方で3人とも怪我をしてしまいます。

治るのはずっとあとの方なので、熱いロマンスはしばらくお預けで、手に汗握る逃走・脱出劇に没頭できます。
 

あとがきで訳者の新井ひろみさんも書いていますが、ヒロインたちが最強の二人でした。

スターラは少女の頃に拉致されたものの、運よく?娼館に売られることなく、ボスの愛人という立場になったため、努力をして自分の価値を高めることで生き延びます。

不謹慎なようですが、したたかで偉い!決して世慣れた女の子じゃなかったのに。


息子を産むことが許されたのもラッキーでした。母になると女性は強くなれますからね!

彼女はバーバの機嫌を取りながらも、ドアマットになることなく、主張すべきことは主張します。

同時に演技力も磨きました。


「どうか中絶だけは勘弁して。お願いよ、アントン。愛するあなたの分身を死なせるなんて、わたしには耐えられない」


と、赤ちゃんを守るために懇願してみせたりとか、


「あなたがあの子を殺したのよ!あなたにとって、わたしたちはもっと大事なものかと思っていた。家族だと思っていたわ。」


と、(実は助かったことを知っているが)悲嘆に暮れる母親を演じてバーバを責めるところなど、思わず舌を巻きます。

その後もほとんど弱気になることはなく、無事家族のもとに帰るまで、終始緊張感を失わずに行動し続けました。

スターラが7年ぶりに両親に電話するところ、ついに救出されるところは、前半の大きな山場です。私は泣きました。

 

クィンの方は、人助けをしたのに撃たれて驚愕しますが、それでもなんとか子どもを抱えてハーレーで警察署にたどりつきます(この時点ですでにスゴイ)。

意識を取り戻してニック(まだ彼女はそれが幼なじみで彼女のヒーローだとは知らないのですが)が「大丈夫かい?」と声をかけたときは、ハーレヒロインにありがちな、はかなげな言葉を発することはなく、彼が怪我をしているのを見て、


「そっちこそ、大丈夫なの?」


と切り返すというタフぶり。

一方、その後彼が彼女の大切な「ニックス」だということを明かされると、彼の首にしがみついて喜びを表すのも素直でいいです。

と同時に、別れたころ彼女は非常に幼かったのだろうと見当がつきます。

 
後半では、クィンとニックのホットなシーンが読めますが、直後にクィンの傷が悪化するという残念過ぎる結果に。

スターラの方はFBIを叱りつけて(お約束)、サミーを返してもらうことに成功します。

家族が一丸となってスターラを守り、サミーを取り戻すところはまた涙、涙・・・ここが後半の山場の一つ目。

 
二つ目の山場は、ヒロインがバーバを追い詰めるところでしょう(これもお約束)。

ここでシャロン・サラお得意の、みじめな犯人のあがきを読めます。  

本作では、FBIは徹底して無能な存在でした。

でもシャロン・サラの場合、FBIはたとえヒーローであっても結構失策が多くて頼りにならない存在( 「レイン」三部作 参照(^_^;))なんですよねー

たいてい犯人をしょっちゅう取り逃がしているか、ヒロインに怪我をさせたりしています。

「命に代えてもきみを守り通す」とか「絶対にきみのそばを離れない」とか、どのヒーローも献身的で、口からでる言葉はドラマチックで素敵!…なんですけどねー。


大詰めになると、殴られて気絶していたり、怪我をして意識がなかったりとか、多いです。


まあ、アン・アシュリーのヒーローよりは、ややましといえますが…

(ファンの方ごめんなさい。でもヒーローが肝心のところでヒロインに助けられること、多くないですか?あまりカッコいい場面がないような。好きなんですけどねー)

 

ロマンスよりサスペンスや家族愛の方に重心が置かれた作品ではありますが、後味がすっきりして満足感が得られることは間違いなし!おすすめです。★5つに+つけちゃいました。

 

おまけの突っ込み(ネタバレです!)


最後の方で、クィンはニックにプロポーズされます。

その時に、「生まれて初めてのプロポーズ」で感激したようなことを言うのです。

でも確かどこか途中で、昔ボーイフレンドに結婚を申し込まれた、と言っていたんですよねー。

それってプロポーズじゃなかったの?

自分が愛していない相手からの申し込みは、プロポーズにカウントしないのか?かわいそすぎるだろ~



基本情報


自分の情報整理のための覚書ですが、お役に立てば幸いです。

原題・出版年等


原題:Race Against Time

著者:シャロン・サラ Sharon Sala

訳者:新井ひろみ

初版:2017年(日本2018年)

舞台:米国、ネバダ州 ラスべガス

(覚書)
購入形態 :電子書籍
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登場人物


ヒロイン1:クィン(クィーニー)・オマーラ(ハーレーを駆って各地を放浪中。?歳(20代半ば~後半くらい?)。赤毛で長身)

ヒーロー :ニック(ニックス)・サルダーノ(ラスベガス警察殺人捜査課刑事。?歳(30歳~30代前半くらい?)、クィンの幼なじみ)

ヒロイン2:スターラ(スター)・デイヴィス(17歳で拉致され、アントン・バーバの愛人にされた。24歳。金髪。)

その他 :サミュエル(サミー)(スターラの息子、2歳。)、アントン・バーバ(50歳くらい。カジノ経営者。人身売買組織の黒幕)



(こちらもどうぞ)「レイン」三部作


★同じ犯人をずっと追い続けるタイプのシリーズものです。わたしは1作目が一番好きかなー(^^♪


アフター・レイン (mirabooks)

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ラスト・レイン (mirabooks)

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