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もう強がりはいらない リサ・クレイパス

どうやら電子書籍がないみたいです。残念。

しょうがないので英語版をば・・・


リサ・クレイパスのコンテンポラリー、トラヴィス家シリーズ3作目。次男、ジャックのお話。私のお気に入りです。


<読み進む前に>

  • 一部ネタバレあり。
  • あらすじは筆者が作成したものです。
  • 感想・おススメ度はあくまで筆者の個人的な印象に基づいています。

おススメ度


評価  :★★★★★+(すごーくお気に入り!)amazonの評価が低いのに驚き。確かに今となると、現実的ではないですけど。

ホット度:結構あるけど、リサ・クレイパスにしては控えめかも


あらすじと感想


※超ネタバレあり!ご注意ください!

あらすじ


先に「夢を見ること」「幸せの宿る場所」を読むことをおすすめします!!というより絶対先に読んでください!!


毒のある母親に育てられたエラは、他人と親密な関係を持つことを恐れてきた。

現在は環境監視装置の会社を経営する菜食主義者の恋人とオースティンで暮らし、穏やかな毎日を送っている。

生活方針を恋人に合わせることに納得し、自立した暮らしを維持できるものと思っていたのだが、妹が置いて行った赤ん坊の面倒をみることになって、生活は一変する。

自分の生き方に変化をもたらすものを歓迎しない恋人、デーンは、赤ん坊の面倒を見る彼女を受け入れないので、エラはふたりのアパートに戻ることはできなくなった。

エラはヒューストンでルークと暮らすことになった。ひとりで頑張るつもりだったが、思いもかけぬ方向から助けの手が差し伸べられる。

大富豪トラヴィス家の次男で、自身も富豪であるジャックからの強烈なアプローチに、彼女ははたして抵抗できるのか?



感想 


リサ・クレイパスのコンテンポラリーの中では、この作品が一番好きかも。トラヴィス家のシリーズは全部好きですけどね。

富豪の生活を描きながらも、ヒロイン視点で話が進むので地に足がついた感じがするし、テキサスの泥臭さや男臭さが終始よいBGMになっています。
 

第一作はいわゆる「poor white(貧しい白人)」の話、第二作目はDVと、それぞれアメリカの大きな社会問題がクローズアップされています。

どちらも描写がとても上手く、読んでいるとつらい。


そしてこの作品には、「毒母」が登場します。これもかなりキツい!

毒母キャンディの出てくるシーンは数ページなのに、とても気分が悪くなります。さすがですね。

この本ではジャックがうまく対応してくれますが、現実にはなかなかそうはいかないので、毒親を描いた本を避けている方は読まない方がいいと思います。


また、この作品には「メガチャーチ」も登場。

油ののっていたころのリサ・クレイパスは、こういったアメリカに新しく現れた、あるいは根付いた慣習や文化といったものを取り込んで、作品に厚みを与えていました。

作品によってテーマが違うのが面白い。1作目にはトレーラー村が詳細に描写されていました。


メガチャーチは、日本のキリスト教会をイメージするとまったく理解できない。

作中で、ジャックも説明してくれていますね!

こちらの記事も参考にしてみてください。説明を飛ばす方はここをクリック。

business.nikkei.com


<メガチャーチとは>

The Hartford Institute for Religion Researchによるメガチャーチの定義によると、週末の集まり(礼拝)に平均2,000人以上の信者が集まるプロテスタントのキリスト教会だそうです。

一般的なメガチャーチのイメージ

・莫大なお金があって、きちんとした組織ができている。ひとつの企業のよう。

・建物が広い。信者の大半は車で来るので、駐車場も半端でなく広い。これは日本の教会ではちょっと考えられない。

・牧師は1人や2人ではなく、大勢いる。それぞれちゃんと役割がある。なんと音楽監督まで。

・毎週のようにゴスペルの大がかりなステージが行われて、教会とはいえ、イベントホールと変わらない。

・選挙運動にもよく使われていて、候補者がメガチャーチで演説したり、寄付を受けたりすることもある。

・もちろん慈善活動も活発に、しかも大々的に行われているので、貧しい人々、苦しむ人々の避難所になっている。

ウィキペディア英語版によると、コロンビアのボゴタにあるメガチャーチは、毎週45,000人もの信者が集まるそう。
45,000人・・・ちょっと想像がつきませんね。どうやって運営するんだろう。

でも、世界最大のメガチャーチは韓国にあるそうですよ。もしかして統一教会のことかも?

参考:CNN What is a megachurch?

 

さて、メガチャーチのイメージがぼんやりとできたところで…


ことあるごとに感謝を要求し、常に自分がヒロインにならないと気が済まない毒母、キャンディから逃れて、自分の欲求を抑圧しながらも、それが自分の身を守ることだと信じ、草食系の自己満男子デーンと暮らしていたヒロイン・エラ。

デーンは穏やかだし、彼女を傷つける男性ではなかったのですが、実は彼女が本当に求めているものには興味がなく、自分の好みや生き方に合わせてくれている限り一緒に暮らすという、とても恋人とは言えない存在でした。

でも、エラがそのことに気づくには、ヒューストン気質の男 ー 独占欲が強く肉食系で包容力抜群で超セクシー ー のジャックとの出会いが必要でした。


でも、自分の求めるものに素直になったエラは恋愛に積極的になり、とても魅力的です。

実際、かなり理屈っぽい女なのですが、その理屈っぽさがかわいいというか。

底辺にはとても温かくやさしい人柄と、もろい心が隠れていることがわかりますから。

赤ちゃんルークを一目見たときから愛し、とまどいながらも懸命に世話をするヒロインが切ない。


しかし、エラは結婚についてはかなりかたくなな考えを持っている。

次々と理屈を述べる彼女を「ウザい」と思わないためには、大人の包容力と理解力が必要ですねー
あ、もちろん愛情もですよ!


ジャックが大人の男として成長し、実は常に不安を抱えているヒロイン・エラを、トラヴィス家の男性らしく限りなく深い愛で包み込んでくれたので、本当に良かった。読後感は最高でした。



基本情報


自分の情報整理のための覚書ですが、お役に立てば幸いです。

原題・出版年等


原題:Smooth Talking Stranger

著者:リサ・クレイパス Lisa Kleypas

訳者:琴葉かいら

初版:2009年(日本2011年)

舞台:米国、ヒューストン

(覚書)
購入形態:紙書籍(原書房 ライムブックス)



登場人物


ヒロイン:エラ・ヴァーナー(人生相談のコラムニスト)

ヒーロー:ジャック・トラヴィス(トラヴィス家の次男、不動産管理会社を経営)

その他 :タラ(エラの妹)、ルーク(タラの息子)、デーン(エラの恋人)、キャンディ(エラとタラの母親)

トラヴィス家の面々


  • ゲイジ(長男)+リバティ(妻)

  • ヘイヴン(長女)+ハーディ(婚約者)

  • ジョー(三男)

  • チャーチル(トラヴィス家の家長。四きょうだいの父親。大富豪)


関連作品(トラヴィス家シリーズ)


夢をみること」:ゲイジとリバティ

幸せの宿る場所」:ヘイヴンとハーディ

もう強がりはいらない」:ジャックとエラ(本書)

やさしさに触れたなら」:ジョーとエイヴリー