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三度恋する アン・メイザー


どうしようもない旧時代のツンデレヒーローですが、昭和生まれの女には結構ツボかも。


<読み進む前に>

  • 一部ネタバレあり。
  • あらすじは筆者が作成したものです。
  • 感想・おススメ度はあくまで筆者の個人的な印象に基づいています。

おススメ度


評価  :★★★★(けっこうお気に入り!)

ホット度:ほんのり(寸止め)

 

あらすじと感想


※超ネタバレあり!ご注意ください!

あらすじ


母親が亡くなって以来、子育てから逃げ出した父親に代わって、奔放な妹の面倒を見てきたヒロイン。
大学進学を諦めて秘書養成学校に通い、なんとか重役秘書にまで上りつめて安定した暮らしを得ていた。

妹もやっと根無し草的な生活を改め、看護師の寮に入って見習いをするようになったが、やはり妹は妹だった。
なんと恋人のグリンとドライブ中、無免許運転をして、彼に重傷を負わせたというのだ。それだけではなく、妹ヴァレンティナは、運転者をグリンであるかのように装ってその場を逃げ出し、姉に助けを求めてきた。

あまりにも無責任な行動にショックを受けて、まともに考えることができないヒロインだったが、それに追い打ちをかけるように、グリンの叔父という男性がアパートに押しかけてきて彼女を非難した。
誤解は解けたが、肝心の妹は姉の元からも逃走してしまって行方不明状態。
動揺する彼女に、ジャレッドは一時的に失明している甥のために、妹のふりをすることを提案する。それだけではなく、退院後も一緒にカナダに行くようにと。

マザコンボーイフレンドのサイモンは大反対だし、グリンの母リーザも反対しているというのに、ジャレッドは強引にカナダ行きを推し進める。



感想 


タイトルの意味がよくわからなかった。でも面白かったです。登場人物が生き生きしていていいですね。最後が駆け足なのはいつものことなのであきらめているし。

まじめで長女気質の姉に無責任妹のよくあるハーレですが、これはかなり極悪でした。妹だけでなく、父親もかなり無責任。

百歩譲って父親は許してやっても、妹はひどすぎる。

平敦子さんの翻訳ですね。女性の言葉遣いが上品。「~じゃなくってよ」「どうして~していられて?」「デイトなのに!」。

うーむ、昭和初期~半ばなら違和感もないでしょうが、1986年(昭和61年)・・・ちょっと無理があるのでは。

そのころハーレクインを読んでいないので、当時の読者の反応はわかりませんが、かなり古くさい感じがしたんじゃないかなあ。

そういえば最近再版された「愛のいけにえ」も平さんだった。昔の本だと思って読めばいいのかも。

さて、ストーリーですが、初対面の時から、36歳ヒーローは21歳ヒロインにロックオン。

甥の回復に責任があると言いくるめてヒロインに妹のふりをさせ、甥の見舞いを強要。

あげく退院できそうになるとヒロインをカナダに拉致・・・いや、あの手この手で説得してイギリスからカナダに来させて、自分の牧場に住まわせるのです。

そこにはグリンの母・リーザと、ジャレッドの父・ベンがいました。

グリンの父親でリーザの夫、ジャレッドの兄であるアンガスは既に死去。

リーザはジャレッドと近いうちに結婚するつもりでいるため、ヒロインに激しく嫉妬します。

ヒーローに惹かれ始めていたヒロインは、リーザがヒーローの恋人だと聞かされ、自分に近づくヒーローの態度に複雑な思いを抱くようになります。


このアン・メイザーとか、シャーロット・ラムとか、ヴァイオレット・ウィンズピアとか、昔からの(失礼)ハーレ作家に共通しているのは、ヒーローがやさしいのか傲慢なのか横暴なのかわからないところ。

モラハラなのかセクハラなのか、プライドが高いからか男性優位主義だからか、惹かれていても素直に行動できない。

とにかく、紳士でも寛容でもない。突然キスしたり、抱きしめたり、押し倒したりしておいて、ヒロインがそれに反応してもしなくても怒って彼女のせいにする。

オッサンのそんなイラつきが理解できない、ウブなヒロインが傷ついても放置

その後、形だけ謝って、「謝っただろう」と言ってみたり。

はあ、まるっきりお子様ですね(断定)。

でも昭和の女としては、そんなヒーローを結構憎めなかったりします。むしろ好きかも・・・

ストーリーのほうは、リーザが墓穴を掘っておしまいでしたが、そのことを知ると、ヒーローは激昂してリーザを~(以下自粛)。

今時はあり得ないですが、このころは許されたのか・・・まあスッキリしましたけど。

あのまま黙っていたらヒロイン死んでたからね!ほんっと往生際の悪い女だった。


なお、ヒロインは21歳と非常に若いのですが、自分は大人だと思っているので頑張ります。生い立ちを考えると当然でしょう。

決して賢くも善人でもないヒロインですが、ジャレッドの不遇な父親・ベンに親しみと同情を覚えて優しくするところは良かったな。

ヒーローは36歳にして若い娘に首ったけになってしまったので、かなりジタバタします。

今後、若い妻にメロメロになることは間違いないでしょう。

なお、極悪妹は、なんのおとがめも受けず逃げおおせたようです。いつか天罰がくだると思うしかない。

 

基本情報・関連作品


自分の情報整理のための覚書ですが、お役に立てば幸いです。

原題・出版年等


原題:IMPETUOUS MASQUERADE

著者:アン・メイザー Anne Mather

訳者:平敦子

初版:1982年(日本1986年)

舞台:カナダ、ムース・フォールズ

(覚書)
購入形態:電子書籍
購入サイト:楽天Kobo

登場人物


ヒロイン:ライア・マロリー(重役秘書、21歳、イギリス人)

ヒーロー:ジャレッド・フレイザー(牧場経営者、36歳、カナダ人)

その他 :ヴァレンティナ(ライアの妹、18歳、看護師見習い)、グリン(ヴァレンティナの恋人、ジャレッドの甥)、サイモン・トラヴィス(ライアのボーイフレンド)、リーザ(グレンの母、ジャレッドの兄・故アンガスの妻)、ベン(アンガスとジャレッドの父)

 

作品を味わう (^^♪


こんなご時世ですが(コロナ禍で海外旅行不可)、ちょっぴりカナダに行った気分になれるかも