コージーなロマンス、コージーなミステリ

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マッケンジーの山 リンダ・ハワード


やっと電子書籍が出てくれた!嬉しいけどこの表紙はどうなの?

旧版はこちら  表紙は断然こちらの方が雰囲気が出ています。


お堅く教育されたものの冒険心たっぷりのヒロインと、ネイティブ・アメリカンとの混血ゆえにいわれなき差別を受け、周囲に敵愾心を持って対応せざるを得ないヒーローのお話。このころのリンダ・ハワードはややこしくなくてすごく面白いです!


<読み進む前に>

  • 一部ネタバレあり。
  • あらすじは筆者が作成したものです。
  • 感想・おススメ度はあくまで筆者の個人的な印象に基づいています。


おススメ度


評価  :★★★★★+(すごーくお気に入り!)

ホット度:もちろん熱いシーンがたっぷり。リンダ・ハワードですから。


あらすじと感想


※超ネタバレあり!ご注意ください!

あらすじ


愛情あふれる叔母に厳しいしつけを受けて育った、南部育ちで典型的なお堅い教師のメアリーは、心機一転、ワイオミング州の小さな町、ルースに赴任してきた。

29歳とはいえ、これまで色っぽい話は皆無、男女間のキスさえ知らない人生だった。

しかし教えることが大好きなので、自分では人生に満足しているつもりだったが、
凍死寸前のところをヒーローに助けてもらって以来、彼女は情欲というものを知る。


荒々しい外見だがセクシーで、実は愛情をたくさん持ち合わせているウルフ。

なぜか初対面から、メアリーに強く惹かれる。

しかしネイティブ・アメリカン(作中では昔風にインディアンと翻訳:旧版)の血を引き、刑務所帰りで村八分にされている自分には、
彼女を求める資格はないと、爆発寸前になりながら自制しようとする。


一方メアリーにしてみれば、自制する理由は皆無にひとしい。

惹かれあう男と女が愛し合うのは自然なこと。混血だろうと白人だろうと関係ない。

かたくななウルフに半分あきらめつつも、素直に自分の思いをあらわしていく。

次第に近づいていくふたり。というよりメアリーが強引に距離を縮めていく。


そんなときに、レイプ事件が発生!またウルフが疑われてしまう。

すでに彼を深く愛するようになっていたメアリーは、憤然として、恋人の真の姿を理解してもらおうと大活躍。
しかし彼女までレイプ犯に狙われてしまう!


感想 


嘘をつくヒーローもヒロインも出ないのがとても良かった。

マッケンジー家シリーズの、最初にして、最高のストーリーだと思います。

雰囲気としては、リンダ・ハワードのヒストリカル「ふたりだけの荒野」に近いのですが、現代ものなのでもっと身近な感じがします。

買ってからずっと読まずに置いておいたのがもったいない!

いつでも読めるように電子版が欲しかったけど、当時日本語版がなかったので、しかたなく英語版を購入しました。

この表紙はすごくいい!雰囲気ばっちりです。


実は英語版(単語が難しくないのでぜひ挑戦してください)を読んで、翻訳版の「あれ?」という疑問が解けました。

あくまで旧版の日本語版なのですが、読んでいて「なんかおかしくない?意味通じないよね?」というところがちらほら。


訳抜けや誤訳多いなー。

本当に高木晶子さん本人が訳したんだろうか。それともチェッカーのチェック漏れ?

新版はこの欠点が解消されていると良いのですが。

 

訳抜け・誤訳が残念な本書(旧版)ですが、作品の良さは失われていません。

重要な登場人物は3人ですが、それぞれがとても魅力的で、共感できました。

メアリーは自分がさえないハイミスだと自覚していますが、教育への熱意と正義感は誰にも負けません。

自立していますが意地っ張りではないのが良いです!

とても情熱的で、自分の気持ちに正直なのがすがすがしい。
それに仕事に対して誇りと愛情をもっており、有能なのが安心材料。

彼女は町の人々に差別されているマッケンジー親子を、感情だけでなく理性的に堂々とかばい、
差別は理不尽だと訴え続け、絶対に揺るぎません。

 

ウルフは白人とのハーフですが、容貌がネイティブ・アメリカンそのものなので、白人の町ルースで、いわれなき差別を受け続けます。

差別を受けても卑屈にはなりませんが、常に怒りを内包しているという感じ。

無実の罪、しかも卑劣極まりないレイプという罪を着せられて、刑務所に2年もいたのですから、当たり前ですよね!


馬の調教にかけては天才で、町民は自分の手に負えない馬を彼に託す一方で、差別を隠さないという矛盾した対応を続けています。

それは息子ジョーにも及んでいて、あまりに教師による差別がひどかったので、ジョーは自分から学校をやめてしまったのです。

でも彼は勉強ができて、父親同様魅力的で、16歳なのにとても大人。超セクシーな16歳って・・・うーむ

この父子の関係は信頼に満ちていて、親子というより男同士、という対等な関係に見えます。



米国の田舎町の人種差別・レイプという辛いテーマを、リンダらしいぴりっとしたタッチで描写しながらストーリーはどんどん進みます。

最後はリンダらしいというか、アメリカらしい終わり方でスッキリ!日本ではあり得ませんけど。

熱い闇」ではジョーがヒーローに。

すっかり大人の男になって、メアリーによく似た、「自立していて有能、未経験だけど好奇心一杯」の女性を口説きます。

本作でもヒーローを食いかねませんでした。必読!  

基本情報


自分の情報整理のための覚書ですが、お役に立てば幸いです。

原題・出版年等


原題:Mackenzie's Mountain

著者:リンダ・ハワード  Linda Howard

訳者:高木晶子

初版:1989年(日本1998年?)

舞台:米国、ワイオミング州 ルース

(覚書)
購入形態 :紙書籍/電子書籍(英語版)
購入サイト:Amazon楽天Kobo

登場人物


ヒロイン:メアリー・エリザベス・ポッター(教師、29歳)

ヒーロー:ウルフ・マッケンジー(牧場経営者、35歳くらい)

その他 :ジョー・マッケンジー(ウルフの息子、16歳)

関連作品(マッケンジー家シリーズ)


マッケンジーの山」:(本書)

熱い闇」:ジョーの話

愛は命がけ」:ゼインの話

危険な駆け引き」:チャンスの話

マッケンジーの娘」:メアリスの話